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大学と教育現場が語り合う一日──「高大接続総会 東京会場」開催レポート
2026.07.15
激変する大学入試改革や新学習指導要領への対応を見据え、大学側と教育現場が最新情報を共有する「高大接続総会」。2026年5月26日(火)、株式会社アローコーポレーションの主催・運営により、ベルサール秋葉原にて開催しました。
高等学校教員を中心に215名がご来場。トークセッション、講演、大学プレゼンテーション、東京大学とのスペシャルトーク、そして体験型コーナーまで、「高大」の枠を超えて縦横無尽に「接続」が生まれた一日となりました。
本記事では、その内容を抜粋してお届けします。
▽ 開催概要
<高大接続総会 東京会場(学びをつなぐ 総合会議)>
日時:2026年5月26日(火)13:00〜18:00
会場:ベルサール秋葉原
来場者数:215名(高等学校教員128名/塾・予備校54名/その他団体企業31名/大学2名)
主催・運営:株式会社アローコーポレーション(アロー教育総合研究所)
後援:文部科学省/神奈川県教育委員会/神奈川県私学振興課/埼玉県教育委員会/埼玉県私学協会/公益社団法人全国学習塾協会
協力:東京都高等学校進路指導協議会/多摩地区高等学校進路指導協議会/学習塾団体合同会議/私塾ネット(全日本私塾教育ネットワーク)/一般社団法人教育アライアンスネットワーク(NEA)
大学ブース出展:桜美林大学、関西大学、関西学院大学、法政大学、武蔵大学、叡啓大学、開志専門職大学、京都先端科学大学ほか全国から多数
▽ オープニング|探究のその先へ。大学で開花する『リベラルアーツ』という未来
工藤尚悟氏(国際教養大学 准教授)、森島泰則氏(山梨英和中学・高等学校 校長/国際基督教大学 特任教授)、早田吉伸氏(叡啓大学 ソーシャルデザインセンター長 教授)の3氏が登壇。
中根正義氏(芝浦工業大学柏中学高等学校 校長/毎日新聞客員編集委員)の進行で、リベラルアーツを学ぶ意義と各大学の教育の特色が語られました。
森島氏は、中等教育からの探究学習の重要性を指摘。日本の学生は海外の学生に比べ、自分の意見を論理的にまとめ発言・発信する力が控えめであり、大学4年間だけでは養いきれないと述べました。
工藤氏は「リベラルアーツ=多様性の高い学び」と定義し、一つの事象に複数の視点があると知ること、相手の言葉で話す「対話」の重視を強調。秋田というローカルからグローバルな課題を捉える視点にも触れました。
早田氏は、AIの進化で従来の仕事が消滅する未来を見据え、単一の専門性ではなく「知の統合」で新たな価値を創造する力の必要性を訴え、広島県全域をキャンパスと見なす徹底した学生主体のアクティブ・ラーニングを紹介しました。
▽ 講演ハイライト
どうだった26年度入試、どうなる27年度入試(石原賢一氏/教育ジャーナリスト)
2026年度入試は浪人生の志願者数が大幅増加。制度変更を機に再チャレンジした二浪生の存在が背景にあります。
国語・英語リスニング・情報・物理などで平均点が下落。2027年度は平均点の若干回復を見込みつつ、私立大の有名大学集中と年内入試シフトによる「三極化」が進むと予測し、年内入試への面接導入の動きにも言及しました。
就活激変!学歴フィルターの真実(石渡嶺司氏/大学ジャーナリスト)
学歴フィルターは「半分本当、半分嘘」。売り手市場やコンプライアンス意識の高まりで大学名による足切りは緩む一方、企業の初期選考における適性検査(非言語=数学分野)が実質的なフィルターとして機能していると指摘。
文理を問わず高校数学の学習が就活に直結すると強調しました。
入試に直結する文系探究(犬丸征一郎氏/代々木ゼミナールほか)
高校の探究は「自ら問いを立てる訓練」であり、大学の「研究」とは通じつつも似て非なるもの。歴史を事実の暗記ではなく「歴史の見方」として捉える探究が、論述型の入試や大学での研究につながると解説。
「知識と探究は両輪」として、両者を組み合わせる指導の重要性を語りました。
日本の畜産を支える獣医さんになろう(岩田啓氏/農林水産省)
獣医師の約4割が小動物分野に従事する一方、確保が急がれる「産業動物獣医師」は減少傾向。
家畜の健康管理から食の安全までを支える仕事の意義と、条件を満たせば学費が給付される修学資金制度を紹介し、将来の選択肢に加えてほしいと訴えました。
どうなる情報入試最前線(中野由章氏/工学院大学附属校長・電気通信大学 客員教授)
共通テスト2026「情報Ⅰ」の平均点低下は「難化」ではなく良問化の結果だと分析。
個別入試で「情報」を課す大学・学部の増加や、電気通信大が導入するCBT(プログラムの試行錯誤まで記録・評価)を、思考プロセスを評価できる画期的な手法として紹介しました。
▽ 大学プレゼンテーション
千葉商科大学(村上春香氏)
2025年就任の宮崎緑学長のもと、若手・中堅教職員による「未来会議」を通じて全学改組を決定。
5学部を4学部へ再編し、「自分未来ゼミ」を新設。調査書を点数化(配点40点)して評価する入試改革も進めています。
開志専門職大学(村木伸矢氏)
NSGグループの基盤のもと開学7年目で初の定員充足を達成。40名以下の少人数教育、実務家教員による二軸体制、4年間で600時間以上の企業内実習を必修とし、就職実績は全学部100%を達成しています。
武蔵大学(粉川一郎氏)
「データサイエンス=理系分野」ではなく、全ての人に必要な素養と位置づけ。
全学部対象の「データサイエンス・ベーシック」「副専攻」に加え、2027年度からロンドン大学の学位取得が可能な「ビジネスデータサイエンス専攻」も開設します。
関西大学(岩崎波留奈氏)
ボアソナードの教えを受けた140年の歴史をもつ総合大学。ビジネスデータサイエンス学部の開設や半導体研究の強化など「型破り」な改革を推進。共通テスト利用入試で8科目型を導入するなど新たな取り組みも始めています。
関西学院大学(高松健太氏)
6年連続で志願者数が増加。4年間で2学部を卒業できる「マルチプル・ディグリー制度」や海外留学派遣者数全国最多の実績を紹介。
一般選抜での入学者比率50%以上を方針に掲げ、「8科目型」「英数型」の新設で多様な受験生が受けやすい設計としています。
京都先端科学大学(田畑修氏)
工学部の全講義を英語で実施する日本唯一の大学。留学生比率は25%に達し35%超を見込みます。
連携企業50社の現場課題に少人数チームで挑む「キャップストーンプロジェクト」を通じ、「Street-Smart Global Engineer」を育成しています。
▽ スペシャルトーク|東京大学 金曜講座 VS 倉部史記
東京大学が開講する「高校生と大学生のための金曜特別講座」の企画・運営を担う新井宗仁氏(教授)と永井久美子氏(准教授)が、倉部史記氏(高大共創コーディネーター)とともに登壇。
開講から20年以上、これまでに560回を超える講義を重ねてきた本講座は、現在約750校の高校と協定を締結し、1回あたり500〜600名が参加。
アーカイブの一部はYouTube「UTokyo Channel」でも公開され、社会人の学習教材としても注目を集めています。
東大志望者に限らず、文理選択に悩む高校1年生や中学生まで幅広く受け入れており、「高校の先生方に、ぜひ生徒へ機会を提供してほしい」と呼びかけました。
▽ わかべんクリニック|先生方のお悩みに専門家が処方箋
若手高校教員向けオンライン勉強会「わかべんクリニック」を会場で対面開催。各テーマのエキスパートが、進路指導の悩みに効くヒントを提供しました。
ゼロからはじめる小論文(広川徹氏)──出題形式の5分類と「読む・考える・書く」の連動、解説資料や採点へのAI活用
探究学習のすゝめ(池田幸代氏/神田女学園)──中1からの段階的な探究サイクルで、意思表示の力と目的意識を育てる実践
「プレゼン」「レポート」「ディスカッション」指導のポイント(田本正子氏)──学部で異なる評価軸。問われるのは知識量より主体性と問題意識
難関大学の総合型選抜攻略法(玉村ナオ氏)──志望理由書は「限界を迎えたから教えてください申請書」。“好き”を学問につなぐストーリーの重要性
総合型選抜で役立つ新聞・資料の読み方(石渡嶺司氏)──図書館の「レファレンスサービス」活用と、新聞社説による“事実確認”と“主張”の書き分け
▽ おしゃべりプラザ|参加・体験・対話の新コーナー
東京会場では、参加や体験、対話を軸にした新コーナー「おしゃべりプラザ」を開設しました。
ディスカバ!ミニ体験(今村亮氏/桜美林大学)──「関心のあるキーワード2つ+疑問詞」で問いを立てる探究ワーク。マイクラでディズニーランドを再現した高校生の総合型選抜合格事例なども紹介
「海外進学したい」そのとき、どう答えますか?(井上修氏/茗渓学園)──「2027年問題」による国際化の波を解説。焦らず「何のために行くのか」を子ども自身が整理し、進路を自分ごととして捉える大切さ
▽ 結びに
東京、大阪、福岡。今年も皆さまのお力添えで3つの接続総会を終えることができました。コロナ禍以降、世界は姿を変え、求められる教育も一変しています。これからなにが起きるのか、どう乗り越えるのか──その答えは、ひととひとがつながり、語り合うことからしか生まれません。高大接続総会を、その機会のひとつに。来年も、また皆さまとお会いできることを楽しみにしています。
アロー教育総合研究所 所長 田嶋 裕
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