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大学と教育現場が語り合う一日──「高大接続総会 大阪会場」開催レポート
2026.07.16
激変する大学入試改革や新学習指導要領への対応を見据え、大学側と教育現場が最新情報を共有する「高大接続総会」。
2026年5月29日(金)、株式会社アローコーポレーションの主催・運営により、梅田スカイビル タワーウエスト3階 ステラホールにて開催しました。
高等学校教員を中心に180名がご来場。トークセッション、講演、大学プレゼンテーション、そして先生方向けの個別相談まで、「高大」の枠を超えて縦横無尽に「接続」が生まれた一日となりました。
本記事では、その内容を抜粋してお届けします。
▽ 開催概要
<高大接続総会 大阪会場(学びをつなぐ 総合会議)>
日時:2026年5月29日(金)13:00〜18:00
会場:梅田スカイビル タワーウエスト3階 ステラホール
来場者数:180名(高等学校教員131名/塾・予備校40名/企業・団体その他6名/大学3名)
主催・運営:株式会社アローコーポレーション(アロー教育総合研究所)
後援:文部科学省/公益社団法人全国学習塾協会
協力:学習塾団体合同会議/私塾ネット(全日本私塾教育ネットワーク)/一般社団法人教育アライアンスネットワーク(NEA)
大学ブース出展:桜美林大学、大阪成蹊大学、千葉商科大学、叡啓大学、近畿大学、関西大学、同志社大学ほか全国から多数
▽ オープニング|大学受験BIG3トークセッション「2030大学クライシス」
石原賢一氏(元・駿台進学情報事業部長/教育ジャーナリスト)、木戸葵氏(代々木ゼミナール 教育情報センター)、渡辺健太氏(ベネッセコーポレーション 教育情報センター長)の3氏が登壇し、倉部史記氏(高大共創コーディネーター)の進行で議論を交わしました。
石原氏はマクロな人口動態を提示。18歳人口は2030年まで約100万人を維持するものの、2035年から2043年にかけて一気に70万人を割り込む急減期に入ると警告しました。
2026年度入試の総括として3氏が共通して指摘したのは、想像以上の「難化と苦戦」。
共通テストの平均点低下や、地方国公立大を避けてMARCH・関関同立など都市部の主要私立大へ志願者が集中した構図が語られました。
その裏で、定員厳格化に伴う合格者数の絞り込みが現役生の苦戦を招いたと分析します。
2027年度に向けた進路指導の焦点として渡辺氏が挙げたのは、「デジタル・グリーン分野」の新設学部ラッシュ、理系女子を対象とした「女子枠」の拡大、地方公立大での「入試科目負担の軽減」。
あわせて、文科省が決定した年内入試での面接必須化(2027・2028年度は経過措置)にも触れ、関西圏では武庫川女子大学の共学化など新たな受験地図の変化に、保護者と早期に併願戦略をすり合わせる重要性が語られました。
▽ 講演ハイライト
就活激変!学歴フィルターの真実(石渡嶺司氏/大学ジャーナリスト)
現在の学歴フィルターは「半分ウソで、半分ホント」。
売り手市場やコンプライアンス意識の高まりで大学名による足切りは形骸化する一方、企業の初期選考における適性検査(数学など非言語分野)が実質的なフィルターとして機能していると指摘。
文理を問わず「数学の基礎力」を継続して学ばせることが、生徒の将来を豊かにすると強調しました。
マグロのつぎはノドグロ?近大の戦い方(世耕石弘氏/近畿大学 常任理事)
「実学教育」を建学の精神に掲げる近畿大学。2026年2月には世界初となる「ノドグロ」の完全養殖成功を発表しました。
理系教育への注力、近畿大学病院の大規模移転、建築学部通信課程、そして紙の大学案内を廃止し生成AIを活用したデジタル広報へ全振りするなど、時代の一歩先を行く取り組みが紹介されました。
国際教養大学って、ナンダ??(工藤尚悟氏/国際教養大学 准教授)
「英語を学ぶ大学ではなく、英語で学ぶ大学」。重要なのは英語力そのものではなく、英語を使って何を学びたいかという目的意識だと語りました。
AI時代に育成すべき力として「統合知」と「人間力」を掲げ、1年間の交換留学必須など、対話と一人称の経験を重視する学びの意義を示しました。
大学受験系YouTubeの闇(活用法)(天童辰也氏/オンライン塾【展展堂】代表)
受験系動画の多くが「塾の営業目的」で制作されている舞台裏を明かしつつ、排除するのではなく生徒の需要を把握するツールとして活用する視点を提案。
進路指導における最大の武器は、YouTubeにはできない「個別性」の強調だと語りました。
▽ 大学プレゼンテーション
大阪成蹊大学(石田智之氏)
志願者1.9倍増を牽引した新キャンパスと経済学部。心理学と経済学を融合した「行動経済学」を1年次から全員が学べるカリキュラムや、実就職率3年連続大阪1位の実績を紹介しました。
千葉商科大学(村上春香氏)
宮崎緑新学長のもとで進める大学改革。発電量と使用量を同量にする「自然エネルギー100%大学」の取り組みや、調査書を点数化しアドミッション・ポリシーに合致する学生が力を発揮しやすい入試制度を語りました。
武庫川大学(立花弘資氏/2027年4月共学化「武庫川女子大学」から名称変更予定)
女子教育の土台の上に「共学」の歴史を刻む転換期。
「女子の約7割が共学志向」というデータに基づく共学化により、直近のオープンキャンパスでは女子生徒の参加が1.5倍に急増したと報告しました。
叡啓大学(村本裕子氏、青木一真氏)
開学5周年、学生の4人に1人以上が海外にルーツを持つグローバルな公立大学。
リベラルアーツ教育と企業の課題解決演習を軸とし、卒業単位の半分以上を英語で取得。在学生自身が高大接続の「壁打ち相手」として関わる姿も紹介されました。
▽ わかべんクリニック|先生方のお悩みに専門家が処方箋
若手高校教員向けオンライン勉強会「わかべんクリニック」を会場で対面開催。各テーマのエキスパートが、進路指導の悩みに効くヒントを提供しました。
入試に直結する文系探究(犬丸征一郎氏)──2029年度からの面接必須化を見据え、論述型試験で評価される論理的文章構成力を探究学習で養う視点
ゼロからはじめる小論文(広川徹氏)──出題形式の5分類と「読む・考える・書く」の連動、AIを活用した指導の効率化
探究プログラム「ディスカバ!」ミニ体験(今村亮氏)──「キーワード①×キーワード②×疑問詞=問い」で学ぶ、問い立ての方程式
進路指導法。学部学科選択の視野を広げる!(堀浩司氏)──文理は「脳の使い方の違い」。進路は3年間かけて決める、というスモールステップの重要性
総合型選抜で役立つ新聞・資料の読み方(石渡嶺司氏)──「意欲の深掘り」に応えるための、入門書・新聞社説・レファレンスサービスの活用
「プレゼン」「レポート」「ディスカッション」指導のポイント(田本正子氏)──評価の本質は完成度ではなく「学ぶ力」のポテンシャル。理解力・論点整理の力・表現力の3要素
難関大学の総合型選抜攻略法(玉村ナオ氏)──志望理由書を構成する5段落と、「限界を自覚する姿勢」の大切さ
▽ 結びに
東京、大阪、福岡。今年も皆さまのお力添えで3つの接続総会を終えることができました。
コロナ禍以降、世界は姿を変え、求められる教育も一変しています。
これからなにが起きるのか、どう乗り越えるのか──その答えは、ひととひとがつながり、語り合うことからしか生まれません。
高大接続総会を、その機会のひとつに。来年も、また皆さまとお会いできることを楽しみにしています。
アロー教育総合研究所 所長 田嶋 裕
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