Work アローのお仕事紹介
【制作実績】千葉工業大学「大学案内」─13年、選ばれ続けるディレクションの現場
2026.08.05
大学案内は、受験生が大学と深く出会う最初のツールのひとつです。
アローコーポレーションでは、千葉工業大学の大学案内制作を13年にわたって継続して担当してきました(2027年度版時点)。
本記事では、今回の制作で企画・ディレクション・進行管理を一手に担ったディレクター・野崎に、制作の背景や狙い、理系大学ならではの工夫、そして長く選ばれ続ける理由について話を聞きました。
プロジェクト概要
クライアント:千葉工業大学
制作物:大学案内 2027年度版(第1版 124ページ/第2版 128ページ)
担当領域:企画・ディレクション・進行管理
制作期間:約5ヶ月
取材規模:全17学科に加え、内定者・大学院生・在学生など、のべ60名
2年に一度のコンペを勝ち抜いて13年。「分かっている」がもたらすスピード
千葉工業大学の大学案内は、数年に一度のコンペティションを経て制作パートナーが決まります。
アローがこの仕事を担当して、今回で13年目。決して自動更新の契約ではなく、そのたびに提案で選ばれ続けてきた結果です。
一方で今回は、制作パートナーの決定が例年よりも大きく後ろ倒しになりました。
通常であれば夏頃にキックオフを迎えるところ、正式に決まったのは秋。着手からおよそ5ヶ月で124ページを仕上げる、非常にタイトなスケジュールでのスタートとなりました。
それでも走り切れたのは、長年の積み重ねがあってこそだと野崎は振り返ります。
「大学さんの組織や、どの部署がどのくらいのスピードで動くのか、何かを決めるときのプロセスまで、ある程度こちらで把握できています。
だから『ここは時間がかかりそうだな』という部分を先に手を打っておける。何度も同じところでつまずくことがないので、無駄な時間がかからずに済むんです」
制作物としてのクオリティだけでなく、進行そのものを設計できること。それが短期間・大ボリュームの制作を成立させる土台になっています。
「言われたことをやる」の一歩先へ──情報が集まる存在であること
アローが選ばれ続ける理由を、野崎は「一緒に作っていく姿勢」と表現します。
以前はアローが大学のメインサイトも担当していた時期があり、そこを起点にさまざまな情報がアロー側へと集まってくる状況が生まれました。学外の最新情報を誰よりも早く知り、「こういう動きがあるので、こう入れてはどうでしょう」と先回りして提案する。
気づけば「野崎さん、これ考えてくれない?」と相談される機会が自然と増えていったといいます。
「言われたことだけをやるのではなく、一歩先を意識する。相手が悩んでいるときに、パッと別の案を出す。痒いところに手が届く、という部分は意識して動くようにしています」
営業担当が大きな方向性を提案し、その中で「この部分は野崎さんにお願い」と役割が渡される。
逆に大学から聞いた話でビジネスにつながりそうなものは、営業に相談してみる。
営業とディレクターが連携し、大学にとっては複数の視点から提案が届く体制になっている点も、長い信頼につながっています。
マンネリを最大の敵に。毎回「新しいこと」を持ち込む
13年も続けば、互いの好みも、過去にうまくいかなかった提案も分かってきます。
だからこそ野崎が最も警戒しているのが「マンネリ化」です。
「『去年はこうでしたが、どうしますか?』という聞き方をしてしまうと、どうしても相手の意向だけになってしまう。そこに必ずプラスアルファを乗せるようにしています」
時代は1年、2年で大きく変わります。かつて敬遠された提案でも、表現を変えてもう一度ぶつけてみる。
「他大学ではこうしています。少し挑戦してみませんか?」と、あえて新しい球を投げ込む。
「提案が受け入れられなくても、最終的に戻ったとしてもいいんです。それは結果論なので。だからこそ最初の提案の部分がすごく見られていると感じます。飽きられたくない、でも『分かっている』部分も出さなければいけない。その塩梅を、いつも考えながらやっています」
——長い付き合いの相手に対しても慣れ合わない。この良い緊張感こそが、コンペを勝ち抜く力の源泉になっています。
今回のテーマは「学生をもっと出したい」──”伝える”ではなく”伝わる”へ
これまでの千葉工業大学の大学案内は、改訂を重ねる中で情報が磨き込まれ、ページ数も絞られた、いわば「完成形に近い」状態にありました。自分たちが作り上げてきたものを崩すのは、簡単なことではありません。
そんな中、大学側から挙がってきたのが「学生の姿をもっと出したい」という声でした。これが今回の企画の核になります。
ポイントは、ただ学生の写真やコメントを増やすのではなく、それがきちんと”伝わる”形にすること。
たとえば学科ページは、従来どおり4ページ構成を維持しつつ、これまで1点の大きな写真で見せていた研究室の様子を、文字要素を大胆に絞り込んだ組み写真へと刷新。学生の表情が数多く伝わるアートワークに仕上げました。
ページ数を増やすのではなく、優先順位を見直すことで「学生の顔が見える誌面」を実現しています。
【2026年度版】従来の学科ページ。研究写真1点+テキスト中心のレイアウト
【2027年度版】組み写真を採用し、学生の姿と学びの現場感を前面に
Z世代に届ける工夫──巻頭企画を「オノマトペ」で貫く
「学生の声を、どうすれば届くのか」。その問いに向き合う中で野崎が着目したのが、オノマトペでした。
「今の高校生やZ世代は、SNSでも擬音語・擬態語をよく使っている。
それを有効に使えないかと考えて、巻頭企画をすべてオノマトペで統一したんです」
ドキドキ、ワクワク、キュンキュン、ウキウキ——。
感情に直接届く言葉で誌面を貫くこの企画は、特に大学の女性職員から「すごく良い」と高い評価を得たといいます。
コンテンツそのものを大きく変えたわけではなく、“表現の仕方”を工夫することで、同じ情報の伝わり方を大きく変えた好例です。
「ドキドキ」──学生プロジェクト(SPARK)の巻頭ページ
「ウキウキ」──在学生の声で綴る Chiba Tech Life
理工系大学ならではの難しさ──専門研究を「自分ごと」に翻訳する
理工系大学の制作で、野崎が特に神経を使うのが「研究内容の翻訳」です。
「先生に取材すると、専門的な話になって、伝わりづらいことがあります。
寄稿していただく際も、論文のような難しい文章をいただくこともあります。
でも、今の受験生は短い文章でパッと理解できるかどうかが大切。
だから、取材や原稿依頼の段階から『高校生が読んですぐ分かるように』とお願いを重ねます」
さらに徹底しているのが、「その研究が、私たちの身近な生活のどこで役立っているのか」まで語ってもらうこと。
「たとえば微生物の研究なら、その成果が医薬品など、私たちの暮らしのどこにつながっているのか。
そこまで話してもらうと、『役に立つ可能性があるんだ』と、受験生の興味・関心に一気につながるんです」
遠く感じられる専門研究と、高校生の日常。その”点と点”を結ぶことが、理工系大学の広報では重要になります。
タイトな進行と、新設学部による第1版・第2版の分割
制作の途中、大学で新しい学部を設置するという動きが持ち上がりました。
認可申請の関係で、当初のスケジュールではその情報を掲載できません。
そこで、大学案内を「第1版」と「第2版」に分けて制作するということになりました。
第1版(124ページ)は4月末に納品。その後、新学部の告知や学部・学科ページの改訂を反映し、第2版(128ページ)を6月15日に納品しました。
取材規模も大きく、全17学科に加え、内定者や大学院生、在学生などを含めると、取材対象はのべ60名近く。
総合大学ならではの物量を、限られた期間の中で一つひとつ形にしていきました。
良いものは、良いチームから。現場をあたためるディレクション
大量の取材・撮影を乗り切るうえで、野崎が大切にしているのが「現場の空気づくり」です。
撮影当日に想定と状況が変わることも珍しくありません。予定していた学生が集まらない、先生の時間が急に短くなる——そうした場面でも慌てず、その場で最適な段取りを組み直していきます。
同時に、カメラマンやライターといったスタッフが力を発揮できる雰囲気づくりにも余念がありません。
「終わったときに、立ち会ってくださった大学の方も含めて、全員が『今日は撮ってよかったね』『良いものができそうだね』と思えるように、現場をつくりあげたい。この仕事現場は楽しい、と感じてもらえることが一番大事だと思っています」
制作後には振り返りの場も設け、「次はこうしよう」と率直に言い合えるチームをつくる。
その良い空気は大学側にも伝わり、それが「アローコーポレーションさんと一緒にたのしく作り上げた」という信頼にもつながっています。
巻頭コンセプトを”一気通貫”で。今回の手応え
野崎が今回の制作で特に大きな手応えを感じているのが、巻頭の最も大切な部分を、コンセプトからキャッチコピー、企画まで一気通貫で設計できたことです。
これまでは誌面の入り口となるビジュアルの方向性が先に固まっており、巻頭からアローの企画で筋を通して組み立てるのが難しい面がありました。
今回は、自ら考えたコンセプトを軸に、そこから全体の企画を展開。一本の筋が通った構成を実現できたことに、大きな充実感があると語ります。
「この部分の完成度は、高いものになったと思います。と、大学の方々が『この企画、良かった』と言ってくださったのもとてもうれしいです」
完成した大学案内はWeb上でも公開されています。
巻頭コンセプト「キミの心をゆさぶる学びを。」。ドキドキ・ワクワク・ウキウキ・キュンキュン・ハラハラを軸に構成
13年分の”効いてくる”仕事
長く続けているからこそ得られる実感もあります。学内を歩いていると、かつて取材した学生から「取材してくれた人だ!」と声をかけられる。
在学生の取材で大学案内を見せると、「以前のものを読んで、千葉工業大学に決めました」と言ってもらえることもあるといいます。
「そういう話を聞くたびに、ああ、作ってよかったなと思います」
一冊の大学案内は、その年の受験生に届くだけでなく、進学の決め手として、そして入学後の記憶として、長く効いていく——。
千葉工業大学とアローコーポレーションの13年は、その積み重ねそのものです。
過去の蓄積に寄りかからず、毎回「一歩先」を提案し続ける。
大学と同じ目線で、一緒に良いものを作り上げていく。
アローコーポレーションは、これからも「伝わる」を模索しながら、大学広報のパートナーとして伴走してまいります。
千葉工業大学様の事例はいかがでしたでしょうか。
アローコーポレーションでは、今回の実績と独自のノウハウをもとに、貴学にしかない魅力を最大限に引き出す大学案内を支援いたします。
『自学の大学案内・パンフレットを一新したい』『まずは詳しい話を聞いてみたい』とお考えの広報担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。
