Professor

室山真徳

東北工業大学

工学部 電気電子工学科 教授
触覚センサネットワーク/人間拡張技術/集積回路設計

ロボットに皮膚感覚を付与する
「マルチ触覚センサ」の未来図

視覚、聴覚に次ぐ
第3の軸「触覚センサ」

 次世代テクノロジーというとAI(人工知能)やロボットをイメージしがちだが、来るべき未来を支える重要な技術として外せないのが「センサ」だ。光センサ、音センサ、温度センサ、振動センサなど、さまざまな種類があるなかで、東北工業大学工学部 電気電子工学科の室山真徳教授が着目したのが「触覚センサ」。ヒトがモノに触れたり、掴んだりするときの情報をデータ化して、ロボットの制御に役立てる研究だ。

「これからの感覚センサ革命として、視覚、聴覚に次ぐ第3の軸となるのが、触覚センサです。最初は視覚センサとしてのカメラが大きく発展し、続いて聴覚センサにあたるマイクが進化しました。Amazon EchoやGoogle Homeなどのスマートスピーカーは、今やヒトと同じような反応をしますよね。ここに触覚センサが加わるとさらに新しい世界が拓けると思っています」

 超高齢社会を迎える日本において、あらゆる仕事の現場において、自動化・ロボット化が求められている。しかし、ロボットは多品種・不定形・脆弱な対象物を掴んだり、持ち上げたりするのがあまり得意ではない。そこで、ロボットにヒトのような多点触覚機能を持たせて、モノをやさしく掴めるようにしたのが、室山教授が手がける「マルチ触覚センサ」だ。

「つまり、ロボットにヒトの皮膚感覚を付与する技術と考えてもらえばいいでしょう。これは物流倉庫の商品ピッキング、お弁当の製造、果実の収穫など、幅広い分野での活用が期待されます。そして、この研究における私の最終目的は、介護分野での応用です。車椅子移譲や入浴支援、排泄物の処理などをロボットが担う未来は、将来実現可能だと思います」

幅広い領域で応用が期待される「マルチ触覚センサ」

コア技術はMEMSとLSIの集積化チップ
差別化するならハードが武器になる!

研究の独自性を支える
MEMSとLSI

 室山教授の基盤技術になるのは、流行りのAIではない。もちろん、AIの機械学習も活用しているが、研究の独自性を支えているのは、MEMS(メムス)とLSIだ。MEMSは、Micro Electro Mechanical Systemsの略で、微小電気機械システムを意味する。一方、LSIはLarge Scale Integrationの略で、大規模集積回路と訳される。いずれも半導体の集積回路に用いられる技術だ。

「私たちが開発しているマルチ触覚センサは、MEMSとLSIの集積化センサチップで構成されていて、大きさ2.7mm角の基板に3軸の力センサに加え、温度センサも入っています。つまり、縦・横・垂直方向の数値データに加え、温度データも取得できます。さらに、このセンサの独自性は、たくさんつなげても通信スピードが落ちない点にあります。通常は複数のセンサを直列でつなぐと配線やデータ量に何らかの問題が生じます。そこで私たちは『イベントドリブン機能』という独自技術で、軽くて速い通信を実現しています。これは私がこれまで培ったMEMSとLSIの研究成果によるもので、現在、国内・海外で複数の特許を取得しています」

 「イベントドリブン」とは、触覚刺激という「イベント」を起点として、信号を発信する技術のこと。多数のセンサが直結で常時通信している状態と比べると確かに省エネな印象がある。

「触覚センサ」のデータで
遠隔操作ロボットを制御

 室山教授は、九州大学でLSI設計の研究に従事し、大学院まで進み、博士号を取得。その後、東北大学で、MEMSの世界最高峰と呼ばれる研究室で助教として実績を積んできた。現在は、東北工業大学で学生の指導にあたりながら、株式会社レイセンスを起業し、取締役・最高技術責任者も務めている。

 そんな室山教授が今後、注目しているのが遠隔操作ロボットの開発だ。工場の軽作業や惣菜の調理などで行うヒトの動作を「マルチ触覚センサ」でデータ化し、遠隔地のロボットを制御するというものだ。触覚センサで取得したデータを機械学習でロボットに覚えさせ、作業精度を向上させていくのだという。

「やはり社会で使ってもらえる研究をしたいという強い思いがあります。同時に社会実装をしながら、学問分野としても確立させていきたい。そのためには、産官学を巻き込んで、さまざまなメンバーと研究を進める必要があります。まずはVRやゲームへの応用からでいい。触覚センサの可能性に興味を持ってくれる学生たちと一緒に夢を実現したいと思っています」

MEMSとLSIの集積化触覚センサチップの概念図。2.7mm角の微小な基板に3軸の力センサ+温度センサを搭載している

研究室で独自開発中の遠隔操作ロボット

人の力加減と姿勢の数値データを取得できるモーショングローブ。こちらも研究室で独自開発したもの

東北工業大学

社会の信頼に応え、InnovativeでImaginativeな人材を育成

東北工業大学は2024年に創立60周年を迎えます。建学の精神「わが国、特に東北地方の産業界で指導的役割を担う高度の技術者を養成する」に基づき、堅実で社会に有用な教育・研究を、半世紀以上にわたり真摯に実践してきました。近年は、デジタル時代における教育の高度化、AI・グリーン教育等に注力し、専門家として必要な素地、調和のとれた人格、優れた創造力と実行力を備えた人材の育成に取り組んでいます。

ブランドスローガン「未来のエスキースを描く。」を制定

建学の精神に基づく基本理念を端的に表現するとともに、東北工業大学が歩むべき未来への強い意思を表すものとして、2022年にこのブランドスローガンを制定しました。多様な価値観が存在し、正解もひとつではない世の中で、失敗を恐れず挑戦し続ける意思と姿勢、東北工業大学の魅力であるオープンでフレンドリーな風土を「エスキース」という言葉に込めています。

学部学科

■工学部:電気電子工学科/情報通信工学科/都市マネジメント学科/環境応用化学科 ■建築学部:建築学科 ■ライフデザイン学部:産業デザイン学科/生活デザイン学科/経営コミュニケーション学科

主な就職実績(過去3年間)

アイリスオーヤマ、アクティオ、エクシオグループ、NTTアドバンステクノロジ、NTTファシリティーズ、鹿島建設、関電工、クリナップ、清水建設、大和ハウス工業、高砂熱学工業、電通デジタル、東北電力、東北放送、トヨタ自動車東日本、NIPPO、日本工営、日本コムシス、東日本旅客鉄道、ミライト・ワン、明治安田生命保険、ユアテック、ヨドバシカメラ、東北地方整備局、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、仙台市、宮城県警察、仙台市消防局 ほか

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