Professor

服部聖彦

東京工科大学

コンピュータサイエンス学部 教授
群知能/自律分散システム

人間ではなく自動運転車に
最適化した道路設計を実現する

人間のための車線や信号のない
新しい交通システムをAIと構想

 AI(人工知能)や高度センサを用いた運転支援システムは、日々進化している。一定の条件下で手離し運転が可能な車種も増えており、私たちはすでに「自動運転」の領域に踏み込んでいるのだ。そんななか、東京工科大学コンピュータサイエンス学部の服部聖彦教授は、現状の問題点をこう指摘する。

「いまの自動運転技術は、よくも悪くも人間に合わせてつくられていますよね。車両に搭載されたカメラやセンサが車線、信号、周りの車、人などを検知し、この情報をもとに適切な制御を行う。人間の情報処理を自動化しているとも言えます。しかし、そもそも自動運転車にとって、車線や信号は必要なのでしょうか? それらの交通システムは、“人間が”事故を起こさないためにつくられたものであるはずなんです」

 自動運転車には、自動運転車に適した交通システムが必要なのではないか─―。10年、20年後、すべての車が自動運転によって動くようになった未来。車同士が互いに情報を共有し、車線も信号も存在しない道路をフレキシブルに移動する姿はイメージできなくもないし、明らかに効率的だろう。

 服部教授はこの未来に向けて「信号レス交差点」のシミュレーション実験に取り組んだ【画像A参照】。具体的には、まず信号も車線もない交差点をシミュレーション空間の中につくる。そこに仮想的な「壁」を配置し、AIの車は自分の色の壁を避けながら最短で移動するように経路選択を行う。重要なのはこの壁をどこに配置するかだが、それには「遺伝的アルゴリズム」という最適化の手法が用いられている。

「交差点の中にマス目をつくり、壁の配置を50回以上のパターンで試行してみることで、複数の車の合計走行距離をより短くすることができる経路を導き出していきました。こうした計算は人間には到底不可能なもの。自動運転車が当たり前になった世界では、人間がその道路設計をデザインするのではなく、AIが自ら学びながら最適化していく必要があると考えています」

信号レス交差点での自動車制御シミュレーション

「魚の群れ」から着想を得た
人工知能を社会システムに活用する

シミュレーションで得た結果を
実機のロボットに落とし込みたい

 服部教授の研究室では、コンピュータによるシミュレーションだけでなく小型ロボットなどを使って実験に取り組むことも多い。渋滞回避の実験では、床面に描いたラインをロボットがセンサで読み取りラインに沿って走行する「ライントレースロボット」を使用。車同士がどの道を走っているのかを通信し、後続車はその情報から混んでいる道を避ける判断を行う。自律制御によって渋滞を回避するのが目標だ。

「どういう道路デザインにすれば効率的に自動運転車が移動できるかを考えるためには、こうしたハードウェアを使って実験するのも効果的です。ロボットを使うと、シミュレーションでは起こらないような通信エラーやセンサエラーといった難しい問題が出てくる。そうした課題を克服し、シミュレーションの成果を実機に応用するところまでをめざしたいと思っています」

高速道路のインターチェンジを
AIを使ってもっとシンプルに

 服部教授の専門分野は、「群知能」と呼ばれる。複数のロボットやコンピュータを協調させて賢く動かすことで、全体の効率性や安全性、持続可能性などを追い求める研究だ。そのルーツは、大学院時代に「魚の群れ」に着目した経験にさかのぼる。イワシなどが形成する魚の群れにサメのような捕食者が近づくと、イワシは二方向に分かれたり捕食者を囲んだり、まるで誰かが統率しているかのような逃げ方をする。しかしこれはリーダーがいるわけではなくイワシが先天的に持っている本能によるもの。こうした群れの知能を実社会のテクノロジーに活かそうというのが、服部教授の研究の特異な点だ。

「新東名高速道路には2024年度に自動運転専用レーンが設置されるといいます。まさしくここ数年が、交通システム変遷の過渡期だということです。私が特に注目しているのは、高速道路のインターチェンジの構造です。あそこまで立体的に入り組んでいるのは人間の反射神経や認知能力の限界によるものだと思いますが、AIを使えばもっとシンプルに、狭い土地で効率的に安全なものがつくれるはず。そうした未来社会の道路設計に役立つAIの研究を、今後も続けていきたいと思っています」

市販のロボットを使い、信号レス交差点の実証実験に挑戦

学生主導のVRの研究では、映し出される動画とそれに合わせた風量の風を与えることで視覚+触覚の刺激による画期的な臨場感を実現

研究室を中心に学部の有志の学生とともに、JAXA(宇宙航空研究開発機構)主催の「Kibo-RPC」というコンペティションや、小型人工衛星の打ち上げ競技会「ARLISS」に参加

東京工科大学

八王子キャンパス

AI・ICTの未来を創造する理工系総合大学

東京工科大学は最新の専門的な知識はもちろん、国際的な教養や豊かな人間性を養成。これに加えて、最先端のAI研究や、これからの社会において極めて重要なICT(情報通信技術)教育を展開。これらに裏付けられた充実の教育環境で、時代や技術革新に適応しながら社会で活躍し続ける人材を育成します。

最先端のキャンパスで次世代を担う研究が進行中

八王子キャンパスにはデジタルツインセンターや先端リグニン材料研究センターなど、充実した施設に最先端の設備が集結。キャンパスのシンボルである片柳研究所には、第一線で活躍する研究者が集い、次世代の研究が進行中です。

学部学科

【八王子キャンパス】■工学部:機械工学科/電気電子工学科/応用化学科 ■コンピュータサイエンス学部:[先進情報専攻(情報基盤コース/人間情報コース/人工知能コース)/社会情報専攻] ■メディア学部 ■応用生物学部:[生命医薬コース/地球環境コース/食品コース/化粧品コース]
【蒲田キャンパス】■デザイン学部:[視覚デザインコース/情報デザインコース/工業デザインコース/空間デザインコース] ■医療保健学部:リハビリテーション学科[言語聴覚学専攻/理学療法学専攻/作業療法学専攻]/看護学科/臨床工学科/臨床検査学科

※ 2024年4月新設

主な就職実績

三菱電機、ヤフー、東日本電信電話、資生堂、任天堂、サイバーエージェント、富士通、NEC、トランスコスモス、東京電力ホールディングス、東日本旅客鉄道、フロム・ソフトウェア、SUBARU、東海旅客鉄道、USEN-NEXT HOLDINGS、本田技研工業、ソフトバンク、星野リゾート、日本電子、凸版印刷、メンバーズ、東京エネシス、綜合警備保障、農林水産省、森永乳業、キユーピー、システナ、中外製薬工業、ミツカン、第一屋製パン、シミック、マイナビ、アデランス ほか
(2023年3月卒業生実績)

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