シゴト

ビジネスの現場で輝きを放つ先輩たちは、仕事とどのように向き合い、努力をしているの?
さまざまな業界の最前線で活躍する女性の先輩たちに話を聞きました!

モスバーガーのマーケティング企画担当として
商品のコンセプトを考案!

2022年で創業50周年を迎えたモスバーガー。手に持つのは東武鉄道とのコラボ企画で車両の先頭に設置された、オリジナルヘッドマークのレプリカ

PROFILE
株式会社モスフードサービス
マーケティング本部 マーケティング企画グループ
チーフリーダー
安部麻依子さん
2004年、新卒で株式会社モスフードサービス入社。モスバーガーの店舗で約7年勤務し、店長を経験したのち同社本部へ。人事グループで約9年新卒採用を担当し、2020年5月よりマーケティング企画グループで商品の企画提案に携わる。

クリスマス需要に応える! 冷凍・
お持ち帰り商品の「モモテリ」

 モスバーガーを運営する株式会社モスフードサービスでマーケティング企画の仕事をしています。主な内容は、年6回程度展開するキャンペーン商品の企画、それに伴う消費者や競合店の動向調査、トレンドなどの情報収集、消費動向などの分析です。全国展開の前に一部店舗で試験的に販売する商品の企画を行うこともあります。私の担当は、証拠となる資料や調査結果を元にキャンペーン・企画のテーマやコンセプトを商品開発部に提案するまで。実際に導入された際には、効果測定なども実施します。

 中でも2年前の冬にテスト導入した「モモテリ」は企画から深く関わった商品です。クリスマスと年末年始に向けたローストチキンで、背景にはロングセラーの「モスチキン」の存在がありました。モスチキンは注文を受けてから店舗で揚げるフライドチキンですが、クリスマスはお客様が多くいらっしゃるため製造が追いつかない状況でした。そこで考えたのが、調理せずに提供できるお持ち帰り専用の冷凍商品です。コロナ禍に自宅で食事をとる家庭が増えるなか、長期保管でき、電子レンジで加熱するだけで食べられるとあって料理の負担軽減に対応する狙いもありました。

 市場調査の一環で、前年のクリスマス時期はデパ地下の売り場を見たり、競合店のローストチキンの調理法や価格帯を調べたりしました。その上で、差別化を図るため、鶏肉は種類にこだわり鹿児島県産のものを使用。特別な日以外にも利用してもらえるよう、1本1,000円近い商品が多いなか1本590円に設定しました。常に「モスの強みを活かす」ことを念頭に企画を考えます。

 それでも、1年目は売り上げが伸び悩んだ店舗もありました。発売を知らせるポスター掲示だけでは認知度が足りなかったのです。そこで、その年にお客様や各店舗へのアンケート調査を実施し、結果を元に商品のこだわりを盛り込みすぎていたポスターを改善。テスト導入2年目はシンプルに情報を伝えるデザインにしました。試行錯誤するなかで、「お客様のどんな困りごとを解決する商品か」を意識することの大切さをいつも感じています。

安部さんが企画に携わった一部店舗・冬季限定の「モモテリ」

売り上げを左右する
マーケティング企画

 モスバーガーの年間売上にも影響するキャンペーン商品。その企画を担当できることに仕事のやりがいを感じています。また、厳しい声もある中でお客様から「こういう商品を待っていた」という声や、他部署や店舗から「この商品はすごく売れたよ」という声が届くととてもうれしいです。

 この仕事をめざす皆さんは、これから大学でさまざまなマーケティング手法を学ばれると思いますが、実践して初めて理解できることも多いです。ですから、ぜひ日頃から「なぜ私はこの商品を買いたいのかな」「この商品のターゲットは誰だろう」と考えてみてください。マーケティングの裏側が見えてきておもしろいですし、商品企画の視点を養うことができるはずです。

安部さんの1日
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モスバーガーが活用する
マーケティング手法って?

消費者が何を求めているのかを知り、新商品や販売方法の方向性を決定するために行われるマーケティング。本文で紹介しきれなかったモスバーガーの4つの手法を紹介します。

商品開発とマーケティングの関係性

モスバーガーでは、2019年にマーケティング本部の中へ商品開発部門が統合されました。それまではモスバーガーが開発した独自性のある商品を提供するのが強みでもありましたが、世の中の動きが加速するなか、真にお客様が求めるものを届けるためにも商品開発にマーケティングの要素が取り入れられました。

1
競合調査

市場で競争相手となる企業の動向を調査し、それらの企業と自社の商品や戦略の差別化を図るために実施。モスバーガーの競合となる企業は多く、すべてを網羅できないものの、ファストフード店やバーガーチェーン店のいくつかを常にチェックしている。どのような商品を、どのような戦略で販売しているのかが調査のポイント。

2
キャンペーン効果測定

モスバーガーが年6回程度実施するキャンペーン期間中の調査。キャンペーン商品を購入した人にはおいしさや価格、次回も購入したいかなどを評価してもらう。期間中のモスバーガーの利用客の中で、どれほどの比率の人がキャンペーン商品を購入したかも重要なポイント。テレビCMなどの販売促進効果も検証し、次回以降のキャンペーンに活かされる。

3
定番商品力調査

定期で実施する調査で、モスバーガーの定番商品の評価や利用客の傾向を見ている。モスバーガーの利用経験のある人に、インターネット上での調査への参加を通じて、年齢層など自身の情報やモスバーガーの各商品をどれくらい気に入っているか、価格設定を高く感じているか、安く感じているかなどを回答してもらう。

4
来店客調査

来店した店舗について利用客に評価してもらう調査。店舗の「通信簿」のようなもので、例えば、ある店舗はどの客層の利用客が多いか、お店からどれくらい離れた距離から来る利用客が多いか、利用客がほかのどの競合店を利用しているか、店舗・スタッフに対するコメントなどの情報が集められる。それらを集約したものが、各店舗で活用される。