アローコーポレーション発行『進化を続ける大学2010』より、進化する大学・個別リポート
※本サイトの内容は2009年5月末日の時点で構成しています。最新情報については「→大学公式サイトへ」をクリックし、各大学のホームページでご確認ください。

 
恵泉女学園大学photo

●アロー総研の視点
「派手さこそないが、他者のために行動することをいとわないのが『恵泉スピリット』」と語る木村利人学長。「平和をめざす女性の大学」として、大学院に平和学専攻を備える恵泉女学園大学は、知名度は決して大きくありませんが、意欲的な取り組みも多く、主に教育界・産業界から高い評価を得ています。今後は、評価されている教育成果をいかに社会に発信していくかが同大学の課題といえそうです。

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恵泉女学園大学

〒206-8586 東京都多摩市南野2-10-1 入試広報室
TEL.042-376-8217
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Keisen University

「聖書・国際・園芸」を柱にユニークな教育を展開。

 2008年に開学20周年を迎えた恵泉女学園大学。大学としてはまだ若いものの、母体である恵泉女学園は2009年に創立80周年となる、伝統ある学校法人です。
 創立者は、日本のキリスト教女子教育の発展に尽くした教育者・河井道。「平和のために貢献できる女性を育てる」という理想を掲げ、「聖書」「国際」「園芸」を学園の教育の柱としました。「『聖書』からは愛と奉仕、『国際』からは平和と人間同士の相互理解、『園芸』からは命と自然を慈しむ心を学ぶ。多くの女子校が良妻賢母の育成を標榜した時代に、当初から平和を希求した本学の教育は、非常に独自性の強いものだと自負しています」と木村利人学長は話します。
 こうした理念は今もカリキュラムに明確に反映されており、1年次には全学生必修科目として「キリスト教学入門」「平和研究入門」「生活園芸Ⅰ」の3つを設けています。このうち特にユニークなのが「生活園芸I」です。教育機関としては初めてJAS法の有機認証を取得した教育農場で、農薬や化学肥料を使わず土づくりから栽培、収穫までを行います。
 ただし、園芸技術の習得が最終目的ではありません。あえて手間をかけて有機農業を実践することで、利便性や効率を追求する現代の生活を見直し、環境や食、命などについて考えていくのがねらいです。この授業は社会からも高い評価を受け、文部科学省の2007年度「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)」に採択されました。

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多彩な体験学習を通して生まれる「恵泉スピリット」。

 「国際」という理念に基づいて展開している教育もひと味違います。共通語学科目として、インドネシア語やヒンディー語などを含む10か国語を配置しているほか、国内外でフィールドスタディなどを行う「体験学習プログラム」を設けています。
 特筆すべきは、1999年から実施している長期フィールドスタディ。5か月間タイに滞在し、国立チェンマイ大学で学んだ後、NGOなどでストリートチルドレンのケアやフェアトレード(自立と生活環境の改善をめざす活動)といったさまざまな体験をするものです。事前・事後学習も時間をかけて行い、最後はプレゼンテーションを実施。単なる語学研修とは一線を画す内容になっており、学生の中に貧困や平和などに対する問題意識が生まれるなど、着実な成果をあげています。
 また、2005年度からは体験学習プログラムに「コミュニティ・サービス・ラーニング(CSL)」が加わりました。これは、多摩地域をはじめ身近な地域社会の福祉施設などでボランティア活動を行うもの。高齢者福祉施設でのレクリエーションのサポートや、子育て支援施設で有機農法による野菜栽培を行うなど、内容は多岐にわたります。学生にとっては日頃の学びを実践するとともに、社会の役に立つことの喜びを知る貴重な場となっています。なお、この体験プログラムも2006年度「特色GP」に選ばれました。
 自分の体を使って考える学習を重視する教育は、学生に多くのフィールドを与え、その視野を広げています。そしてそこから、「派手さこそないが、他者のために行動することをいとわない『恵泉スピリット』」(木村学長)が育まれていくようです。世界を舞台に活躍する卒業生が多いことは、そうした教育の成果を表わすものといえるでしょう。航空業界や外資系企業はもちろん、国際機関やNGO、日本語教員、海外ボランティアといった幅広い分野で多くの卒業生が力を発揮しています。

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地域との連携を強化しグローカルな視点を育む。

 さらに今後は、国際社会だけでなく国内、特に社会地域に目を向けた教育にも力を入れる方針です。「なぜなら今は地球規模で物事を考えつつ地域で活動できる、“グローカル”な視点が求められる時代だからです。すでにCSLを導入していますが、地元との交流をより深めていきたい」と木村学長は話します。その1つが、2009年度からスタートした「東京グリーン・キャンパス・プログラム」。NPO・多摩市・東京都と連携し、学生が授業の一環として多摩市周辺地域の緑地保全活動を行うもので、今年度は6回実施する予定です。また、多摩市や稲城市の小学校の英語活動に、学生がボランティアとして参加する取り組みも始まっています。このほか、キャンパス隣接地に「花と平和のミュージアム」を建設し、これまで培った園芸教育の成果を展示することなども構想中です。
 ゆるぎない教育理念を基盤に据えつつ、それを新たな形で展開していく恵泉女学園大学。スキルではなくスピリットを育む独自の教育に、今後も注目していきたいところです。(編集部)

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ストリートチルドレンのための
センター(バングラデシュ)

ゼミ授業の風景

園芸の授業での収穫



設置学部・学科
●人文学部:日本語日本文化学科/英語コミュニケーション学科/文化学科
●人間社会学部:国際社会学科/人間環境学科

交通案内
京王線・小田急線・多摩モノレール「多摩センター」駅からスクールバス8分[路線バスの場合、恵泉女学園大学入口下車徒歩3分]。

創立20周年を記念し、チャペルにカリヨンを設置。

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 恵泉女学園大学では、2008年5月、大学創立20周年を記念した式典を行うとともに、キャンパスのチャペルの塔に新たにカリヨンを設置しました。カリヨンは、複数の小型の鐘を組み合わせたもので、ハンドベルのようにメロディーや楽曲を奏でることができます。ヨーロッパでは古くから時を告げる鐘として親しまれてきました。
 設置されたカリヨンは、十字架をマストに見立てたような、船を思わせるデザイン。恵泉女学園大学ではこれを学園の次なる世紀に向けた船出のシンボルと定め、建学の理念を再確認し、新たな前進を誓いました。以来、カリヨンは、日々の礼拝やキリスト教関連行事の始まりに、その美しい音色をキャンパスに響き渡らせています。

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