Professor

𠮷野秀明

日本工業大学

基幹工学部 電気電子通信工学科 教授
通信トラヒック工学

一定個数集約モデルの平均系内時間、平均遅延時間を表したグラフ

通信ネットワーク上の流れを「見える化」し
快適なIoT社会を実現する

データ送信時間の
遅延最小化をめざす

 世の中のあらゆる産業を大きく変えると言われているIoT(Internet of Things もののインターネット)。すべてのモノと人がインターネットでつながり、私たちの生活に新たな価値やサービスをもたらすと言われている。

 しかし、IoTの本格導入のためにはクリアしなければならない問題がある。それは、データの遅延の最小化だ。例えば、大規模な工場でIoTを導入した場合。データの異常を検知したら、すぐに機械を止める必要がある。万が一そこで遅延が発生すると、大きな損害を被ってしまう可能性があるからだ。

 「通信トラヒック工学」を専門とする日本工業大学の𠮷野秀明教授が研究しているのは、データの遅延を最小化するためのIoTセンサデータ集約方式。

「通信トラヒック工学とは、ユーザが満足する品質で効率的なネットワークを構築・運用するための設計・制御技術のこと。大量のセンサデータを活用する工場内のIoTシステムでは、遅延は0.25ms(0.00025秒)~10ms(0.01秒)以内でないといけないと言われています。この遅延を防ぐためには、センサからのデータを一次的に集約する『IoTゲートウェイ』における遅延時間を抑制する必要があるのです」

 IoTゲートウェイは、モノの端末センサとインターネットの橋渡し役として、大量のデータを中継する役割を担っている。データをいかに効率よく集約してインターネットに送信するかが、遅延を防ぐためのカギとなるのだ。

「IoTゲートウェイにおけるデータの集約方式は、大きく分けてふたつあります。ひとつは、『統計的データ集約』。大量かつ冗長性のあるデータを、統計値(最小、最大など)に集約する方式です。これは工場や農場などに設置したセンサから、故障や異常を検知する際に有効です。もうひとつは、『非統計的データ集約』。複数のデータをひとつの塊に束ねる方式で、無線LANなどがその代表例です」

災害輻輳に対する予約型制御方式の特性評価

IoT社会の実現に向けて、
効率的なデータ集約技術を解析

『統計的データ集約』の
最適な方式をシミュレーション

 現在、𠮷野教授が精力的に研究に取り組んでいるのが『データ集約の最適化』。統計的データ集約方式の遅延特性を理論とシミュレーションによって解析しているのだという。

「解析では、IoTゲートウェイでの遅延時間が最小になる最適な集約個数や集約間隔が存在することを理論的に明らかにしました。また、これらの理論式を用いて、センサデータの到着が時間的にばらつく場合でも、最適な遅延時間を実現できる適応的な集約制御方式を提案しました。現在、シミュレーションにより、性能評価を進めています。遅延時間の最小化が達成できれば、IoT社会の実現に向けて大きな一歩となるはずです」

災害時の通信ネットワークの
混雑を解消する制御方式を開発

 𠮷野教授はこうしたIoTシステムの最適化のほかにも、「通信トラヒック工学」の技術を用いたさまざまな研究に取り組んでいる。

「東日本大震災の際に、電話がつながりにくくなったのは記憶に新しいと思います。こうした災害時の通信ネットワークの混雑を解消するために、通話予約システムを利用した『予約型輻輳制御方式』や、あらかじめ通話時間を予約登録する『最短通話優先方式』など、複数の通信制御方式を提案してシミュレーションで評価しています。また、SNSのビッグデータ解析による需要・トラヒック予測などにも取り組んでいます。これは、観光地の観光客数や映画の動員数などの予測に役立つはずです」

 目に見えない通信ネットワーク上の情報の流れを「見える化」し、快適な社会を実現する─。𠮷野教授の「通信トラヒック工学」は、社会のインフラを支える重要な研究分野だ。

「これからの時代に求められるのは、ものづくりとデータ分析の両方のスキルを備えたエンジニア。通信技術で社会を支えたい、という人にはぜひ、この分野に挑戦してほしいと思います」

目に見えないデータの流れを「見える化」し、快適な通信を実現する『通信トラヒック工学』

一定個数集約方式と適応的集約個数制御方式

SNSのビッグデータ解析による需要・トラヒック予測

日本工業大学

「実工学教育」で新たな価値を創造するエンジニアを育成

日本工業大学は2018年の大幅改編を経て、3学部6学科2コースになりました。あなたの4年間、そして生涯にわたって成長するための「学び」を提供します。実社会で必要となる知識と技術を同時に学び、現場で活躍する創造的エンジニアを育てることを目的とした「実工学教育」。学生一人ひとりの能力に合わせて基礎知識、理論を学びながら、実験・実習・製図など実践的技術を同時に学び能力を進化させる学修システムで、次世代の実工学技術者を育てます。

国内屈指の最新施設と設備

2018年12月、地上7階建ての多目的講義棟が竣工しました。多様なニーズに対応可能な教室と学修スペースを備えます。さらに、2019年夏には応用化学棟が竣工予定。施設・設備の拡充により、最新鋭の充実した教育環境が実現します。

学部学科

■ 基幹工学部:機械工学科/電気電子通信工学科/応用化学科 ■ 先進工学部:ロボティクス学科/情報メディア工学科 ■ 建築学部:建築学科(建築コース/生活環境デザインコース)

主な就職実績

関東電気保安協会、日本郵便、オリエンタルランド、リンテック、天馬、ミネベアミツミ、牧野フライス製作所、アマノ、JUKI 、曙ブレーキ工業、本田技研工業、ショーワ、アイチコーポレーション、三菱電機、富士通、スタンレー電気、双葉電子工業、日本電子、大東建託、大和ハウス工業、きんでん、東芝、関電工、熊谷組、鉄建建設、東洋建設、三井住友建設、富士ソフト、東日本電信電話、東京ガス、東日本旅客鉄道、東海旅客鉄道、国家・地方公務員、中学・高校教諭 ほか

お問い合わせ先

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入試室 TEL:0480-33-7676(直)