Company

セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ
代表取締役社長

阪根 信一

デラウエア大学 大学院

化学・生物化学科
博士課程修了(Ph.D.)

世界初の全自動衣類折りたたみ機
「ランドロイド」を開発!

「本当のイノベーション」とは、
今まで誰もやらなかったアイデアに挑戦し、
新たな価値を生み出すこと

「洗濯物から解放されたい」きっかけは妻のひと言だった

 洗い上がった洗濯物をきれいに畳んでくれる機械があったら便利だと思いませんか? 私はそんな夢を叶える世界初の全自動衣類折りたたみ機「ランドロイド」を開発しています。
 ランドロイドは、シャツ、パンツ、タオルといった洗濯物の形状を人工知能が認識し、全自動で折り畳むことができるもの。機能はどんどん進化していて、現在は洗濯物を識別し、仕分けることもできるようになりました。
 きっかけは、10年ほど前の妻のひと言でした。「洗濯物を畳む作業から解放されたい。これを自動化する機械がいま一番ほしい」。そこで、会社のメンバーに相談し、実現に向けて動き出しました。そして、約10年を費やしてついに製品化にこぎ着け、2017年秋の出荷をめざしています。

最新のロボットアーム技術、人工知能の画像認識技術を結集

 私たちは、まず洗濯物を折り畳むというプロ セスを「つかむ」「広げる」「認識する」「折り畳む」「仕分け・収納する」という5つに分け、分析しました。ロボットは人間と違い一部を見て、「これはシャツだ」と判断できません。そこで、一度広げる必要があるのですが、開発当初のロボットアーム技術ではクシャクシャの洗濯物をうまく広げるのは至難の業……。そこで試行錯誤を繰り返し、やっとここまでたどり着いたのです。
 ランドロイドには、最先端のロボットアーム技術や人工知能による画像認識技術が総動員されていて、門外不出の特許技術も数多く採用されています。人間が普段何気なく行っている動作を再現することがどれほど難しいのかがここからもよくわかるでしょう。

「イノベーションとは何か」を考えさせられた大学院生活

 私がランドロイドの開発を思い立った2005年当時、「洗濯物を畳む機械」に何億円もの投 資をするという発想を持つ企業は、まずありませんでした。だからこそ、私は「世界初」のチャレンジに賭けたのです。この発想のルーツは、大学院での研究生活にあると思っています。
 日本の大学を卒業後、アメリカ・デラウエア大学の大学院で化学を専攻し、博士号を取得しました。私はここで、新しいものを生み出すとはどういうことか、本当のイノベーションとは何か……を徹底的に考えさせられました。
 日本人は既存の製品を改良する技術に長けていますが、今までないものを創り出そうというときに、消極的になる傾向があると思うのです。その点、アメリカの研究現場では誰もやったことのない新しいアイデアにこそ価値があり、そこにチャレンジするから評価される風土がある。だからアメリカでは、常にイノベーションが起こるのです。私は父が発明家をしていたこともあり、世の中にないものをつくることの価値は、身体のどこかで深く理解していました。そのせいか、アメリカ流の発想と相性がよく、研究でも次第に満足のいく成果を出すことができるようになりました。
 あるとき、その教授に、Ph.D.(アメリカの博士号)の意味を知っているか?と質問された ことがありました。Ph.D.が意味するDoctor of Philosophyを直訳すると「哲学の博士」。つまり、どのような分野に挑戦しても必ず結果を出すための哲学を修得した証だというのです。今でもこの言葉には勇気づけられています。

技術的なハードルが高いからチャレンジする意味がある

 帰国後、私は父が経営する会社を引き継ぎ、ものづくりの仕事に携わるようになります。そして、現在は独立し、セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ株式会社の代表取締役として、開発の総指揮をしています。

私が製品を開発する際の基準は以下の3つ。
① 世の中にないモノであること
② 人びとの生活を豊かにするモノ
③ 技術的なハードルが極めて高いこと

 これらをすべてクリアするテーマなら、ジャンルを問わず挑戦しようと思っています。
 誰のモノマネでもなく、暗闇を試行錯誤しながら、道なき道を切り拓き、アイデアと情熱で誰もなし得なかった新たな技術や製品を生み出す。それが本当のイノベーションであり、セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズという技術集団の存在意義だと思っています。

「将来、ものづくりの世界に携わりたいなら、英語とプログラミングの知識は必須です!」と阪根社長

世界最大級のエレクトロニクスの展示会CEATEC JAPAN 2016でのデモンストレーションの様子

スタイリッシュなデザインの「ランドロイド」。2017年秋に家族向けに冷蔵庫サイズの折り畳み専用機を出し、2019年には洗濯・乾燥も含めてオールインワン型を発売、2020年には住居と一体化したホームビルトインタイプを投入する予定

Profile

阪根 信一

アメリカ・デラウエア大学化学・生物化学科博士課程修了(Ph.D.)。理学博士。Glenn Skinner Award 学部最優秀賞受賞。卒業後は株式会社I.S.T取締役、CEOを経 て、2008年にスーパーレジン工業株式会社社長に就任。2011年にseven dreamers laboratories, inc. President & CEOに就任、2014年より現職。

セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ / seven dreamers laboratories

世の中にないモノを創り出す技術集団。ルーツは、人工衛星「はやぶさ」などの製作を手がけてきたスーパーレジン工業(1957年創業)。2005年からロボティクス、2007年にヘルスケアの開発を手がけてきた基盤技術は、2011年にSeven Dremers Laboratories, Inc.に引き継がれ、2014年にセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ株式会社設立に至る。ランドロイド以前にもオーダーメイド・カーボン・ゴルフシャフト、鼻腔挿入デバイスナステントなど、最先端技術を駆使した刺激的な商品を続々発表。常に人々に驚きを与える「宇宙品質」の製品群を世に送り出している。