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株式会社日立製作所 鉄道ビジネスユニット
水戸交通システム本部 担当本部長

稲荷田 聡

東京電機大学

工学部
第一部 電気工学科(当時)卒業

世界の高速鉄道で通用する
パワーエレクトロニクスに挑む

自分で決めた道を進むからには、言い訳はできない。
その決断を正解にする唯一の手段は「努力」だ!

経験、自信、プライド、使命感を胸にイギリスへ

 私の技術者人生は、常に国内外の鉄道とともにありました。入社後、まずは国内で新幹線の駆動システムを効率化する「電力変換器」の設計開発に携わりました。そして30代前半で技師を任されると、それまで培った経験を評価され、海外での事業拡大を果たすべくイギリスへ。動力装置に使われている技術から、鉄道業界の文化・商慣習まで、日本とは異なる未知の環境で手探りの新規開拓に挑みました。その当時のモチベーションは、「日立のプライド、日本のプライドで高い技術力を証明しよう」というものでしたね。数年の歳月を経て高速車両の受注・設計・製造・試験を重ね、営業が開始されたときには、技術者の皆で涙したことを覚えています。
 省エネ性能や耐久性の向上、基幹装置の小型化など、技術革新によって鉄道がめざす方向性は多岐にわたります。個別の要素技術の改良からシステム全体の最適化まで、取り組む課題は幅広く、学ぶべきことも山程。公共交通という社会インフラに関わり、実社会に活かせる開発に従事できるやりがいは、とても大きなものです。

主体的な興味・関心こそが自分を突き動かすパワーの源

 学生時代に抱いたのは、自動車や飛行機、鉄道など、「見て動きがわかる大きなもの」に携わりたいという想いでした。そこで選んだ研究テーマが「パワーエレクトロニクス」。自分でテーマを決め、厳しく自己管理をしながら研究に打込んだ日々は、技術者に求められる根本的な姿勢を培うことができた私の原点だったと思います。
 振り返れば「自分で決めて実行すること」こそが、成長・成功の原動力でした。壁にぶつかり悩んでも、「もっと何かできるはずだ」と常に上をめざしたことが、結果的に新たな仕事につながってきました。そして、最も重要なのは、自分のすべき仕事を見極め、その決断が正しかったと思えるまで努力し続けること。熱意や努力が必ず形になるのが技術者の仕事の魅力だと思います。

現在は管理職に就き、複数のプロジェクトの全体像を俯瞰する立場にあります。とはいえ技術的な議論を交わしている時には、今でも技術者魂が揺さぶられますね。

株式会社 日立製作所
鉄道ビジネスユニット 水戸交通システム本部

1924年に国産初の蒸気機関車を開発して以来、車両用制御装置や列車用保安装置といったハードウェアから、運行管理システムなどのソフトウェアまで、全世界の鉄道業界に応える最先端の研究開発を展開している。
※上記写真は水戸事業所(交通システム部門のほか、昇降機事業も行われています)

※インタビュー内容は取材当時のものです。