環境や生命の不思議をもっと知りたい
生物の力を活かして環境と健康を守る技術を開発したい。

●どんな学問?
20世紀の終わりから、環境問題が人類共通の課題として注目されるようになった。環境問題とは、たんに公害や温暖化といった問題ではなく、生命の問題でもある点を忘れてはならない。生命は環境のなかで存在し、環境は生命を育みつづけている。環境と生命は、密接不可分の関係でむすびついているからだ。
今日その環境が危機的状況にあることはいまさら言うまでもない。テレビや新聞、インターネットといったメディアでは連日、さまざまな環境問題がとりあげられ論じられている。環境が陥っているということは、すなわち地球上の生命もまた、危機にさらされていることにほかならない。たとえば、かつて環境ホルモンと呼ばれた内分泌かく乱物質の問題も、いまだ解決への途上にある。
環境問題が地球的規模で深刻化してきた現在、「生命」の観点から環境をとらえなおして研究をすすめ、問題を解決しようと挑戦を始めている分野が育ちつつある。例えば、有機化合物・無機化合物が生物や生物の住む環境にどのような影響を与えるのかを分析することで、化学物質と環境とのかかわりを解明し、環境のあり方を長期的で広い視野から理解する研究や、微生物などの生物が備えている力を河川や海などの環境浄化に有効利用するための技術開発などがすすめられている。大量のゴミや産業廃棄物の問題も、生物の力を活かすことで解決できる可能性が探られている。
とくに近年注目が集まっているものの一つに、生物が進化の過程で獲得してきた機能や構造といった生体のシステムを分析し、その成果を新しい医療技術の開発や、環境に適合する材料の開発などの分野へ応用する研究がある。こうした研究・開発は、化学や農学、生物学や材料工学、さらには分子レベル・ナノレベルでの生命活動の研究など、実にさまざまな分野の成果を活かしながらおこなわれている。

