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薬剤師になりたい

高齢社会の医療に貢献したい。

薬剤師になりたい

■ どんな仕事?
 医薬品はさまざまな疾病の治療や予防、健康の維持などにおいて必要不可欠な存在で、大きな恩恵をもたらしてくれる。一方、副作用などの薬害という深刻な課題が絶えずつきまとっているという側面もある。
 薬剤師は、薬局、病院、製薬会社、血液センターやバイオビジネスの研究所などに勤め、調剤、服薬指導、創薬などに携わり、医薬品を通して社会貢献をしていく仕事だ。薬剤師法という法律では「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする」と規定されている。公務員として、保健所や自治体の環境部門に勤める道もある。産業廃棄物処理施設などの事業の許認可や土壌・水質検査、薬品検査、有害・有毒物質の検査などを行うのも薬剤師の仕事。薬剤師としての知識を生かして麻薬取締官として活躍する人もいる。
 病院では「チーム医療」の一員として医師や看護師と連携して薬の選択・処方を担う「病棟担当薬剤師」としての役割も大きくなっている。医薬品情報の収集・提供や、患者への服薬指導やカウンセリングなどの業務も、病院の薬の責任者としての重要な役割だ。日本病院薬剤師会が認定するがん薬物療法の専門薬剤師や感染制御専門薬剤師をめざす道もある。
 地域医療の担い手としての役割も大きい。調剤薬局やドラッグストアなどで日頃から地域の人々に接して、薬のカウンセリングなどを通じて地域医療に貢献するのも薬剤師の大切な仕事だ。薬事法改正により、2009年より調剤を行わないドラッグストアなどでも薬剤師の指導なしに販売できない指定医薬品(第一種医薬品)が規定されたという背景もある。
 この他、必ずしも薬剤師の資格が必要というわけではないが、新薬の開発・製造に関わる「創薬分野」、薬学の学術的な進展に携わる「研究・教育分野」、環境衛生・食品衛生などに取り組む「行政分野」、化粧品産業・繊維・ゴム・石油製品関連企業などの「化学関連分野」などにも活躍の場は広がっている。

■ どう学ぶ?
 ご存知のように、2006年度から新しい薬剤師教育がスタートし、薬剤師養成のための薬学教育が6年間になった。これに伴って、大学の薬学部は、薬剤師の養成を目的とした6年制の学科と、基礎薬学や創薬科学関連の教育研究を主目的とする4年制の学科を併設している。薬剤師をめざすのであれば、6年制の学科を選ぶ必要があるので注意していただきたい。一方、薬剤師を目標とするのではなく、薬学そのものに興味があり、将来はMR(医薬情報担当者)や研究職として活躍したいと考えているなら、4年制の薬学系学科を選択することを考えてもよいだろう。なお、4年制卒業後に大学院薬科学研究科修士課程あるいは博士課程を修了し、6年制との差分になる単位を履修することで薬剤師受験資格を得ることもできるが、そこまでするなら最初から6年制を選ぶのが賢明だ。

■ 6年制学科の教育
 6年制学科の大きな特色は、実際の医療に役立つ医療薬学の色彩が強いことだ。特に、5年次に行われる「実務実習」は約半年間に及び、薬剤師教育の大きな柱となっている。実務実習には、病院実習と薬局実習があり、病院実習では、チーム医療に参画できるようになるために、調剤および製剤、服薬指導などの薬剤師業務に関する基本的知識、技能、態度を習得する。
 また、薬局実習では、保険調剤、医薬品などの供給・管理、情報提供、健康相談、医療機関や地域との関わりについての基本的な知識、技能、態度を習得する。
 この実務実習の前の4年間は、いわば事前教育で、病院と薬局での薬剤師業務の概要と社会的使命を理解することが大きな目標となっている。
 具体的には、「処方せんと調剤」「医薬品の管理と供給」「医薬品のリスクマネージメント」「服薬指導と患者情報」などを学ぶ。この事前教育が終わると、専門知識をコンピュータで評価するCBT(Computer Based Testing)と、薬剤師としての基本的な技能や態度を評価するOSCE(Objective Structured Clinical Examination/客観的臨床技能試験)という2つの共用試験が実施され、これに合格しないと実務実習に参加することはできない。
 また、6年制学科では、医療人としての倫理観や人間性を養う教養教育にも力を入れている。「こころある医療人としての薬剤師」育成のために教養教育は不可欠であるからだ。

■ どう選ぶ?
 6年制の学科を選ぶ際には、まず教育内容をしっかりと確認していただきたい。
 薬剤師教育には、モデルとなるコアカリキュラムというガイドラインはあるものの、コアカリキュラム以外の教育内容は各大学で違っている。その違いを複数の大学で比較して、自分で納得できる大学を選ぶことが非常に大切だ。薬学教育は過渡期だけに、カリキュラムを含めた教育内容は意外なくらい大学によって異なる。
 また、実務実習については、約半年間にも及ぶ長期のため、研修施設などをあらかじめ調べておきたい。特に、併設病院のない大学では、どこの病院や薬局で、どのような実務実習ができるのかを、よく確認しておこう。製薬会社で創薬に従事したいと考えるなら「治験」の現場も体験しておきたい。
 薬剤師国家試験の合格率も大学選びの目安になる。6年制学科に対応した国家試験は、本稿執筆時点ではまだ結果が出ていないが、これまでの合格実績はその大学がどれほど国家試験対策を重視しているかを表すバロメータともいえる。しっかりとチェックしておくことが大切だ。各大学の合格率を比較したいなら、厚生労働省医薬局の発表をインターネットなどで参照するとよいだろう。

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