映画で何かを表現したい。

■ どんな世界?
2008年度の映画の興行収入をみると、全体の収入に対して邦画59.5%、洋画40.5%と、邦画が洋画を大きく上回った。ヒット作では相変わらずテレビドラマの劇場版や、テレビの宣伝が功を奏した作品が多いが、日本映画として初のアカデミー賞外国語映画賞を受賞した「おくりびと」のように国際的に高い評価を受けている作品も少なくない。日本の映画文化がさらに発展するためには、熱い情熱を持って映画づくりに挑戦する映画人の育成が大切だ。
総合芸術である映画の制作に携わる人材は実に多様だ。
プロデューサーは、制作費を調達し、スタッフや俳優を集め、興行を成功させるのが仕事。制作現場の指揮をとるのは映画監督。その監督の意に従って演技をする俳優たち。彼らのセリフは、脚本家によって練り上げられたものだ。制作担当者やその助手は、ロケ現場の手配や、スタッフやキャストの調整からロケバスの手配まで、現場の具体的な動きを進行管理する。撮影、照明、録音を担当する技師たちには、経験と高度な技術が求められる。
このほかにも音楽、美術、大道具、小道具、衣装、ヘアメイク、スクリプター(記録)など、さまざまな技術と経験を持ったスタッフが、映画づくりには欠かせない。
映画制作を担うのは、映画制作会社、独立系プロダクション、アニメスタジオなど。最近はテレビ局などメディア関連企業も映画制作に進出してきた。
こうした映画制作の多様化の中で、映画界に異色の監督を登用するなど、新しい流れができつつある。一時は大きく衰退した日本映画界だが、映画づくりを志す若者にも良い方向性がみえてきた。
■ どう学ぶ?
邦画の盛り上がりや新たな潮流を受けて、映画に夢を託す若者も増えてきた。映画制作に関わる学びは、従来その役割を専門学校が担う部分が多かったが、近年、大学でも映画や映像に関連する学科が徐々に増えてきた。
映画学科では映像表現の基礎知識を習得し、監督、脚本、撮影・録音、演技などのコースに分かれて専門分野を研究することになる。映像関連学科では、テレビやCG・ビデオアート、あるいはドラマ、アニメーションなどについて、作品形式や内容に分かれて理論と技術を学ぶケースが多い。
ダイレクトに映画や映像関連学科に進まなくとも、映画制作への道は幅広い。例えば、映画研究会などのサークルに所属して、作品づくりをする道もある。なるべく多くの芸術作品に接し、社会に対する問題意識を持ち、美に対する鋭い感性や、人間・社会に対する深い洞察力を学生時代に養っておくことが大切だ。