アニメの制作に関わりたい。

■ どんな世界?
ノートの端に1ページずつ、少しずつずらした絵を描いて、素早くめくることで残像で絵が動いて見えるマンガを作ってみたことがある人もいるのでは。このパラパラマンガは、アニメーション手法の1つである。
日本で「アニメ」といえばすべてのアニメーションを指すが、海外で「anime」と言う場合は日本で制作されたセルアニメーション作品、あるいはそれと同種の作風を持った作品を指すことが多い。「アニメーション(ani-mation)」を「アニメ(anime)」と略して呼ぶのは日本だけであり、日本の作品が広く海外で人気を博しているからでもある。
日本のアニメーション技術は間違いなく世界でトップレベルにある。1989年に世界で公開された『AKIRA』は、その代表的な作品で、S・スピルバーグが「自分はこういう作品を作りたかった」と語ったといわれる。「アニメ」は「マンガ」とともに日本から世界へ発信されている重要コンテンツ、文化の1つなのだ。
現在のアニメの世界は、単にアニメ作品を見るだけではない。
作品の制作背景や、声優のエピソードを読んだり、フィギュアを集めたり飾ったり、コスプレやイベントへの参加も、珍しいことではなくなった(かも知れない!?)。
少し前までは「オタク」の専売特許と思われていたアニメは、幅を広げながら確実に市民権を得ている。
■ どんな仕事?
1つのアニメーションも、企画、脚本、原画、動画、撮影、編集、音楽と仕事は細分化されている。
見る人を楽しませてくれるアニメーションは、大勢の専門家による共同作業の集大成なのだ。
近年の大きな変革にコンピュータの導入がある。紙に描いた線画をセルと呼ばれる透明なシートに転写し、色をつけ、順番に取替えながら撮影する、という昔ながらの作画作業はほとんどないといっていい。
原画として紙に描かれた絵をスキャナーに取り込んで、コンピュータ上で彩色・編集する方法や、紙への作画をせず、CGにより撮影の過程を経ずに、各コマの静止画像を順番に作成して、一連の動画に仕上げるCGアニメーションの手法が生まれたからだ。これによって、リアルな動きで、制作時間も大幅に短縮されている。高レベルの作品が低コストで制作できるようになったのだ。
CG技術の進歩はめざましく、人間や景色には陰影や質感がほどこされ、微妙な動きまで表現される。3DCG(3次元コンピュータグラフィックス)を使用したフルデジタルアニメーションの制作も増えている。
細かく分かれている仕事内容を順番に見ていこう。作画には、主要なキャラクターやシーンを描いた原画と、各シーンが連続しているように見せるための動画がある。現場では、原画マン、動画マンに分かれてそれぞれの作画を担当。動画マンとして経験を積み、原画マンを任されるのが一般的だ。その後、キャラクターデザイン、色彩計画、作画監督などへとステップアップしていく場合もある。
最近のテレビ番組などでは、人件費の安い中国・韓国などで大部分を制作し、仕上げのみ日本で行うといった分業体制も進んでいる。日本のスタッフにはより高い技術が求められる。
こうしてできあがった作画は、専門のスタジオでの撮影に回される。できあがった映像にあわせて声優がアフレコで命を吹き込み、さらに効果音やテーマ音楽などが重ねられ、編集作業を経て作品が作り上げられていく。
映画やビデオ、TV番組、広告、街頭ビジョンなど従来のアニメーションに加え、ゲームやWeb、携帯電話の待ち受け画面などにもアニメーションが用いられている。
いわゆる伝統的なアニメーションとは異なるが、flashや3D画像ソフトを使えば、いちパソコンユーザーでも凝ったアニメーションを作れる時代になった。動画投稿サイトなど、作品を発表する場も多々ある。情報の媒体が今後も拡大するにつれてアニメーションの存在は、社会の中でますます大きくなっていると言えるだろう。
■ 将来は?
アニメーション制作会社はもちろんのこと、ゲーム業界、IT関連産業などへ進出し、アニメーション作家、アニメーター(実際に作画に携わる)、デザイナー、ディレクター、プロデューサーなどの職種に就く道が考えられる。
またCGの利用により、個人でも高品質の作品が低コスト・短期間で制作することができるようになったため、個人作家として活躍する道も開けてきた。一方、マンガやノベライズ、フィギュア、ゲームなどアニメーションを核にさまざまな関連ビジネスが生まれており、新しいビジネスを開拓するチャンスもある。アニメーションの世界には、大きな可能性が広がっている。
■ どう選ぶ?
アニメーション関連の資格としては、「CGクリエイター検定」「CGエンジニア検定」「色彩検定」などがあるが、アニメーションの仕事には必須資格はない。制作現場で着実に実力を磨いていくことが王道だろう。もちろん、オリジナリティあふれる作品を生み出しながら、個人で活躍することも可能だ。
教育機関としては専門学校が中心になるが、大学でマンガ系学科・コース・専攻が次々と生まれており、アニメーションを専門的に学べるようにもなった。
またメディア関連学科や映像学科などで映像表現の1分野として学んだり、ゲームやCGデザインを中心に学ぶコースが設けられるなど、高度なアニメーションを学べる環境が整いつつある。