マンガの可能性を追求し、新しい価値を生み出したい。

■ どんな世界?
『神の雫』『花ざかりの君たちへ』『ROOKIES』『のだめカンタービレ』。これらのテレビドラマや映画の共通点は、「マンガ」が原作ということ。以前からマンガ原作のものはあったが、増加傾向にある。
テレビの深夜放送枠でマンガ原作のアニメが多数放映されているのは、高校生諸君にはあらためて説明するまでもないだろう。パンフレットや広告にマンガやアニメのキャラクターを使っている大学もある。
マンガは小説などと比べて一段低く見られがちだが、日本固有の文化・芸術であるだけでなく、国際競争力を備えたコンテンツとして、さらなる発展が見込まれている。
かつてのマンガ誌や単行本として市場に流通するだけではなく、今日では携帯電話やパソコンなどデジタルメディアとしても流通している。テレビアニメやDVD、映画、ゲーム、キャラクター商品などさまざまなマンガ関連産業がある。
またマンガ特有のわかりやすい表現がメディアコミュニケーションの視点から高く評価されるようになり、その展開も多彩だ。
例えば、教育・学習への応用。歴史や古典などを題材としたマンガを、理解しやすさから参考書代わりに使った人もいるのではないだろうか。
商業的にもテレビCM、広告などエンターテイメントの枠を超えて利用されたり、作品や作家ゆかりの地での街作りプロモーションやイベント、ミュージアム、テーマパークの建設・運営など新規ビジネスも誕生している。
2004年には、アニメやマンガなど、日本のソフト産業の保護・育成に官民一体で取り組むための「コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律」が施行。マンガをめぐる社会環境は、大きく変わりつつある。出版不況といわれる中、マンガ誌も例外ではなく、ピーク時には1週間に500万部以上も発行されたのが、半分以下に落ち込んでいる。それだけに人気作品、人気キャラクターであればあるほど、ビジネスの可能性は自然と広がっていく。その生みの親となれる才能豊かなマンガ家が求められているのだ。
■ 最新事情は?
日本ではマンガの活用範囲、ビジネス規模が成長しているにもかかわらず、その元を生み出すマンガ家の育成教育は、あまり変わっていない。
プロマンガ家になるには、マンガ誌で募集される新人賞を受賞、自分の師事するマンガ家のアシスタントやマンガプロダクションなどで制作スタッフとして技術を磨いて独り立ちする、直接出版社のマンガ誌編集部に作品を持ち込む、といった方法が大部分を占めている。
■ 大学でマンガを学ぶ?
そうした伝統的な方法とは異なる、新しいマンガ家への道として現れてきているのが、大学に設置されたマンガを専門的に学ぶ学科やコース・専攻だ。
日本発の文化として世界に発信され注目される存在となり、学問的アプローチの重要性が認識されてきたということだろう。
2000年、日本初のマンガ学科が設置されたのを皮切りに、メディア・コンテンツ・キャラクター造形などの学部・学科が誕生した。
学生一人ひとりが個性に応じた作品作りに取り組めるとともに、編集やマーケティング、評論などマンガを取り巻くさまざまな知識を習得できるようになった。有名マンガ家を教員に招いているのも大きな特徴だ。
また、マンガ家を助けながら人気作品を作り上げていく編集者など、マンガ産業やコンテンツを支える人材育成も視野に入れ、多彩な教育を行っている。
文化論や作品論などの観点からマンガを取り上げるケースも多々ある。日本文学や日本文化に関する講義の中でマンガが取り上げられたり、海外との比較論の材料になったり。マンガに対する学問的なアプローチは始まったばかりと言ってもよく、歴史や体系化を含め、今後の研究成果に注目したい。
■ どう選ぶ?
マンガ家は10代でデビューということもある一方で、仮にデビューできても読者アンケートなどで人気が落ちれば作品打ち切りもあるという、非常に厳しい世界でもある。
自分でキャラクターを生み出し、ストーリーを考え、レイアウトを工夫し、絵と文字を組み合わせて独自の世界を表現する。そのすべてに関わるマンガ家になるには、構成力、描画力、発想力、表現力などさまざまな資質が考えられるが、全部が優れている必要もない。
むしろ大切なのは、たくさんの読者をひきつけるために、独りよがりにならない、柔軟で多角的な視野と、魅力的なストーリーやアイデアを発想するための人間や社会を観察する鋭い目だ。
進学先としては大学のマンガ系学科や専門学校が考えられる。そのうち大学では、マンガの歴史や文化、ビジネス、批評などの理論面と、制作を通してデッサンや表現技術などの技術面を学ぶ場合が多い。
また、デジタル技術など新しい表現方法や発表形態にも着目し、独自の方向からマンガに関わる人材を育成している学科もあるので、各学科・コース・専攻の教育の特色やカリキュラムをチェックし、志望に合うところを選びたい。技術面について、美術系学科で表現やデッサン力などの基礎的な素養を身につけるのもひとつの方法だろう。
産業として大きく成長する可能性を秘めているマンガの世界で活躍できるために、学生時代に広い視野を身につけておく。マンガ家はもちろんだが、彼らを側面からサポートする原作者や編集者をめざす人は、特に心がけてほしい。
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