教員免許を取得したい。

■ どんな仕事?
「先生」という仕事に共通するのは、教えることによって自分自身も成長する、ということだ。
特に学校教員は、児童・生徒との密接なふれあいを通して、子どもたちの健全な成長を助けながら、児童・生徒やその保護者、同僚の教員などからさまざまなことを学び、教師としてだけでなく、人間としても成長していくのだ。
学校教育にはいくつかの段階がある。家族以外の他人と初めて団体行動を共にし、社会へ入る準備をする幼稚園。集団のなかでの協調性とともに、将来の生活に必要となる基礎的な学力・体力を身につける小学校。思春期の悩みと不安、そして未来への夢が同居する中学校。自分の可能性と将来像を模索する高等学校。それぞれの場で教師の役割は大きく、責任も重い。
現在、教育現場は学力低下や不登校、いじめや学級崩壊など、さまざまな問題を抱えている。しかし、厳しい状況にあるからこそ、教師の仕事はますます重要性を増しているし、やりがいもあるといえる。未来を担う子どもたちを育てるという強い意志と使命感を持ち、知識と力量に富んだ教師が求められている。
■ 最新事情は?
教員志望への門戸は広がっている。団塊の世代と呼ばれるベテラン教員が定年を迎えるからだ。文部科学省が公表した「平成21年度公立学校教員採用選考試験の実施状況」によると、全国64の都道府県・指定都市教育委員会が実施した2009年度教員採用試験の採用者総数は2万5897人で,前年度に比べて1047人(4.2%)増加している。
ただし、小学校や中学校といった学校の形態、あるいは地域によって、教員採用状況には差がある。小学校は少人数学級やチームティーチングの流れから採用が増えているが、高校はそれほど増えていない。
2008年度の採用試験の倍率(全国平均)を見ても、小学校が4.2倍なのに対し、高校は9.4倍の高倍率だ。また、首都圏や関西地区などに比べ、地方ではもともと児童・生徒数が少ないため、採用数も多くない。2009年度採用試験の倍率を見ても、全国で最も競争率が低かった大阪市が3.4倍、東京都は4.2倍なのに対し、最も高い鳥取県は20.4倍、第2位の沖縄県は17.0倍だ。
教員をめざす人にとって気になるのは、2009年夏の衆議院選挙で民主党が大勝し、政権交代が起こったことで、教員免許をめぐる状況が大きく変化しようとしていることだ。
2009年4月から導入されたばかりの「教員免許更新制」を2010年度限りで廃止、それに代わって教員の質向上を図るため教員養成課程を修士課程2年を含む6年制とし、教育実習も1年間に延長しようというのだ。
だが、その後、文部科学省が「教員免許更新制は法律で定められていることでもあり、拙速は避けたい」という見解を示したこともあって、更新制の廃止は早くても2011年度からということになりそうだ。教員養成課程6年制についても、大学や教育委員会などの教育関係者が導入に消極的、受け入れ先となる教職大学院の数が圧倒的に不足している、などといった要因もあって、早急な実施は難しそうだ。
ただ、いずれにしても今後、教員免許に関わる法律や制度が変わることは間違いないだろう。教員志望の人は、新聞やテレビのニュースなどをしっかりチェックし、新しい動きを見逃さないようにしたい。
■ どんな資格?
教員になるためには、大学で教育職員免許法が定める教職課程の科目を履修し、教育職員免許状(教員免許)を取得する必要がある。
ただし、教員免許状を取得しただけでは、教員になることはできない。公立学校なら、各都道府県が実施している教員採用試験に、私立学校の場合は各校ごとに実施している採用試験に合格しなければならない。
表に示したように、教員免許状には大きく分けて6つの種類がある。大学・短期大学で取得できるのは、普通免許状と呼ばれ、大学卒が一種免許状、短大卒が二種免許状を取得可能だ(ただし、短大卒は高等学校教員免許状の取得ができない)。
特別支援学校教員は、幼稚園・小学校・中学校・高等学校、いずれかの教員免許状取得と併せて、特別支援学校教諭免許状を取得可能な大学での必要単位の履修が求められる。
幼稚園・小学校と特別支援学校の教員免許取得には、教員養成系の大学・学部・学科で学ぶ必要がある。一方、特定の教科のみの中学校・高等学校の教員免許は、教員養成系以外でも、教職課程を置いてある大学ならば取得可能だ。
| 幼稚園教員 | ○教員養成系の学部・学科へ進学 ○大卒:一種/短大卒:二種 |
| 小学校教員 | ○教員養成系の学部・学科へ進学 ○大卒:一種/短大卒:二種 |
| 中学校教員(教科) | ○教員養成系以外の専門学部・学科へ進学 ○大卒:一種/短大卒:二種 |
| 高等学校教員(教科) | ○教員養成系以外の専門学部・学科へ進学 ○大卒:一種/短大卒:取得できない |
| 特別支援学校教員 ※幼・小・中・高校いずれかの教員免許状が必要 |
○教員養成系、福祉、栄養、生活、保健、看護など ○大卒:一種/短大卒:二種 |
■ どう選ぶ?
表に掲げた5種類のうち、どの教員をめざすのかをまず考えよう。幼稚園と小学校、特別支援学校教員を志望するなら、その種類の教員養成カリキュラムを備えた教育学科など教員養成系の学科等に進むことになる。中学校と高等学校の教員なら、自分が専門にしたい教科の教員免許状を取得可能な学部・学科を選べばよい。ただし、教員養成系以外の学科に入学して免許状の取得をめざす場合、専門科目などの履修に加えて、教職課程の科目も履修する必要がある。教員養成系の学部・学科では、教職課程科目が卒業単位となるが、それ以外では教職課程が卒業単位に認定されない。必然的に授業数も勉学に割く時間も多くなる点を覚悟しておこう。