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環境や生命の不思議をもっと知りたい

生物の力を活かして環境と健康を守る技術を開発したい。

環境や生命の不思議をもっと知りたい

■ どんな学問?
 環境問題は今や人類共通の課題である。その領域はきわめて広く、ゴミ問題や公害などのように一部の国や地域で発生し完結し得るものから、地球温暖化・オゾン層破壊・酸性雨などのように発生源も地域も特定できないものまである。また、この問題は人類がかつて経験したことのない複雑さを持ち、人口増加や経済発展とも密接に関係している。その上、時間は無尽蔵ではない。早急に解決の糸口を見出さねば…という社会の要請が1990年代後半から一気に強まり、環境科学という学問も形成されていった。
 環境問題に対する学問的取り組みの歴史はまだ浅い。しかしそのアプローチは多岐にわたり、それゆえに備えている大きな特徴がある。その特徴を2点挙げるとすれば、「社会科学と自然科学の両面に接する。つまり環境科学には既存の学問、例えば物理学や生物学、化学、医学などから得られる有効な知識がふんだんに内包されていること」と「環境科学には社会の要請から生まれた学問としての実用性がある。環境や生命の不思議を探究するだけでなく、それを実用化していく使命を環境科学は帯びていること」だ。

■ どんな成果が?
 では具体的に、環境科学は社会にどんな成果をもたらしたか?
 例えば、生物の働きで自然に戻る性質を持つ生分解性素材の開発、環境に配慮したバイオエネルギーの開発、バクテリアの力で有害廃棄物を分解させる技術や有用な薬品をつくりだす技術の開発、また廃棄されてしまう魚などからコラーゲンをとりだす研究などなど。すでに実用化されている研究も数々ある。
 医療の分野でも、コウモリを真似た視覚障害者用超音波レーダーをつくる試みや、生命体の機能をヒントに人工的に設計・構築した材料で人工筋肉や人工臓器をつくる素材を開発する試みなどが、大学の研究室で進められている。
 生命環境科学を学ぶことは、未来に貢献することといっても過言ではない。

■ どう学ぶ?
 前述したように環境科学へのアプローチは多岐にわたる。特に近年注目が集まっているもののひとつに、生物が進化の過程で獲得してきた機能や構造といった生体のシステムを分析し、その成果を新しい医療技術の開発や、環境に適合する材料の開発などに応用する研究だ。こうした研究・開発は、化学や農学、生物学や材料工学、さらには分子レベル・ナノレベルでの生命活動の研究など、実にさまざまな分野の成果を活かしながら行われている。そのため環境科学(ここでいう生命環境科学)を学ぶ足がかりは、生物学や化学、物理学や工学といった基礎的な知識にあるといえるだろう。言い換えれば、生命科学に関心のある人は環境科学への理解を深め、環境科学に関心のある人は生命科学への理解を深めることから始まるわけだ。
 その基盤のうえにフィールドワークを積み重ね、生物の生きている環境の実態を具体的に調査・分析する作業も重要となってくる。つまり、教室での体系的な知識の習得と現場での実践的な技術の習得を両方学ぶことも、この分野における学び方の特徴といえるかもしれない。

■ 何を学ぶ?
 あなたが「生命環境を学びたい」と感じたきっかけは何だろうか。キーワードはバイオテクノロジー、ゲノム、クリーンエネルギー、環境アセスメントなど、どんなことでもいい。2008年のノーベル物理学賞を日本人3氏が受けたというニュースも、多くの人に科学への関心を呼び起こしただろう。引き金が何であれ、あなたが関心を持った科学的または化学的ことがらが、生命環境と少しでもリンクするならば、学びの道は開かれる。
 大学での学びは通常、生物学や化学、物理学の基礎に始まる。そうして、自分自身の興味や関心に応じた方向へとさらに深い研究を進め、理学系・工学系のさまざまな知識と技術を学ぶことになる。ただし近年は、環境問題に関する法的整備も急務であり、環境関連の資格も増えている。大学によってはこうした法律知識や資格取得を中心に据えた、文系的考えの学生を受け入れるところもある。
 理想的には将来の進路を見据え、例えば素材や材料の開発、医薬品や食品の開発、あるいは環境評価や環境改善の技術など、具体的なイメージを持って学部・学科やコース、履修科目を選ぶとよいだろう。

■ 将来は?
 現在の地球環境、世界情勢のどれを見ても、この分野の人材はますます求められるようになるはず。事実、国や地方公共団体はもちろん、化学・医薬品、建設、食品、情報・通信、サービス業といった幅広い企業が専門的な環境評価能力や環境技術を身につけた人材を求めている。分野によっては慢性的な人材不足も指摘されている。大学での学び方次第で、生命と環境に関わる企業に就職することはもちろん、大学院に進学して研究者となる道や、社会で経験を積んだのちに独立して環境コンサルタントや開発コンサルタントとして活躍する道も考えられる。

■ どう選ぶ?
 まず、「環境」や「生命」を名称に含む学科や専攻をチェックしてみよう。あるいは「物質」や「化学」といったキーワードで大学を探し、「環境」と「生命」に関わるカリキュラムやコースを持っているかどうかを調べてもいい。より具体的に将来の進路を描くならば、その学科や専攻を担当する教授の研究論文に目を通したり、関心のある企業の研究室を調べたりすることから絞り込んでいくこともできる。

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