人にやさしい建築物を設計したい。

■ どんな世界?
住宅から、オフィスビル、学校や図書館、病院、娯楽施設、さらには橋に至るまで、建築物は人々の生活基盤に関わる大切な存在だ。法律の改正、新しい工法の開発など、建築・設計は時代とともに大きな進化を遂げながら発展を続けている。今日、建築に求められるテーマは、安全、安心だけではなく、機能性や耐久性をはじめとする「建物の質の向上」、高齢化社会を迎えての「ユニバーサルデザイン」、そして「環境との共生」など多岐にわたる。「アメニティ(快適な空間)」や、「景観との調和」も重要なテーマになっている。
■ どんな仕事?
建築・設計には、大きく「意匠設計」「構造設計」「設備設計」の3つの分野がある。
建築の世界ではデザインを意匠と言うが、外観のみならず、間取りなど空間設計も含まれる。構造は、主として強度の問題。マンションの強度不足問題が大ニュースになったことも記憶に新しいが、地味ながら建築・設計の肝のひとつに構造があることを改めて周知させたという副産物もあった。風・地震など外部から受ける力を計算するなど、さまざまな負荷に対する耐性を計算し、梁や柱の大きさを決める大切な作業だ。設備は、建物内に電気、水道、ガスなどのライフラインや、照明・空調設備などに関するもの。最近はエコ、省エネが設備のキーワードになっている。
戸建て住宅などの建築物の場合は、この3つを一人の建築士がすべて担当するのが普通だが、ビルやマンション、大型施設の場合は分担して行うケースがほとんどだ。
建築図面を書くだけでなく実際に現場に何度も足を運び、工事の進捗状況や作業内容を管理するのも建築士の仕事。設計から施工、引き渡しまでのすべての段階に関わる、総合プロデューサーと言ってもいいだろう。
■ 資格は?
国家資格である建築士の資格は、工学部などに設置されている建築学科、土木学科だけでなく、芸術学部の建築デザインコース、家政学・生活科学系の住居学科や生活環境学科などを卒業すると二級の受験資格が与えられる。一級の受験資格は、以前は一律に二年の実務経験が必要とされていたが、2008年11月の建築士法改定により取得した単位によって必要とされる実務経験年数が若干異なるようになったので、しっかり確認していただきたい。
なお、一級建築士は国土交通大臣から免許を受けるもので、すべての建造物の設計、工事監理等の業務に携われる資格。二級建築士は都道府県知事から免許を受け、一定規模以下の木造建築物など、主に一般住宅の設計、工事監理等の業務に従事する資格である。一級をめざすなら、まずは二級を取得し、必要な実務経験を積んでから受験するのが一般的である。