商品の魅力を表現するスペシャリスト。

■ どんな世界?
広告を取り巻く世界は大きく変化している。広告主要4媒体といわれている「新聞広告」「雑誌広告」「ラジオ」「テレビ」の広告費が減少傾向にある一方で、Web(インターネット)広告が拡大しているのだ。
インターネット広告の2008年の市場規模は5350億円で、2009年は前年比11.2%増の5950億円に拡大すると予測されている。
また、これまでに比べて成長は緩やかになるものの年率6%から13%、金額にして毎年500億円から800億円規模の成長により、2013年には8510億円となっている。その後も同水準の成長が維持されれば、遅くとも2017年には媒体費のみで1兆円規模になると見込まれている。
世界のトヨタが広告予算3割減を打ち出すなど広告費大幅削減のなか、この増加は際立っている。実際にクリックされた回数や約束した結果を得られた場合に広告費を支払う「成果報酬型」広告が現れたり、アクセスログ解析によって広告効果をはっきりと見ることができるようになったからだ。
ただし、「広告」そのものがめざしていること……対象となる商品・サービスの魅力を最大限に表現すること。同時にその魅力をよりたくさんの人に伝えていくこと……は変わっていない。社会や人々の生活と強く結びついており、人と人、人とモノをつなげるという役割を担っている。
ところで、ひとつの広告製作は協力作業だ。その作業の中心となるのがアートディレクターやクリエイティブディレクターと呼ばれる人たち。彼らの役割をデザイナーやコピーライターが兼ねることもある。
例えばアートディレクターは、グラフィックデザイナー、コピーライター、イラストレーター、カメラマンなどと協力しながら、広告案を作る。それを広告主、つまりスポンサーにプレゼンテーション(提示)し、そこで出された要望を持ち帰り、次の案にブラッシュアップ。その繰り返しで作り上げていくのが広告であり、芸術作品とはまったく異なるところだ。
だからと言って、広告主の意向だけを反映すればいいというものではない。より効果が得られるよう、スポンサーと打ち合わせしながら仕上げていくのである。
ここで今、大きくクローズアップされるのが、新たなスキル。従来の媒体ならば広告クリエイターは、広告制作のスペシャリストであればよかったが、Web広告の場合はウェブ自体にある程度精通している必要がある。
テレビCM、新聞や雑誌の広告で検索ワードが表示されるのも当たり前で、Web広告との連動は欠かせない要素になっている。
広告クリエイターであると同時に、簡単なホームページぐらいなら自前で作れるWebクリエイターでもある。そんなスキルが広告クリエイターに求められるようになってきているのだ。
■ どんな仕事?
広告物ができるまでには、多くのステップがある。まず企画段階では、商品の特徴と年齢層・性別などから主要ターゲットを絞り、その層に一番アピールする広告展開を考えていく。
続いてスケジュールや予算といった条件を加えてディレクター、コピーライター、デザイナー、イラストレーターなど担当チームのメンバーを決定。試作を繰り返しながら、広告主にプレゼンテーションをし、多くの人に訴えかける広告を仕上げていくのだ。
デザイナーやイラストレーターに要求されるのは、商品の特性を把握し、それをどう人に伝えていくか。そのためデザイン力や創造力、さらに社会のニーズに敏感に対応できるような広い視野が必要とされる。また、実際の作業は一人で行うものの、チーム内で意見を交換したり、広告主との打ち合わせに同席するなど人と接することも多い。締め切り前などにはハードなスケジュールになることもある。コミュニケーション能力や体力(健康なカラダ)も、この仕事の重要な素養となってくる。
■ 将来は?
グラフィックデザイナーやイラストレーターをめざす場合は、広告代理店やデザイン事務所などに専門職として就職するのが一般的だ。
広告関係ならプランナー、クリエイティブディレクター、グラフィックデザイン関係ならアートディレクター、イラストレーター、グラフィックデザイナー、CGアーティストなどスペシャリストの需要は多い。
就職に際して特別な資格は必要ないが、いずれの場合もオリジナリティやセンスが求められるため、就職後の努力や経験が不可欠である。
携わった作品の評価次第で、自分の将来が決まる厳しい世界だが、実績をあげられれば高収入を得ることも可能だ。指名で依頼される仕事が増えてくれば、独立して事務所を開いたり、フリーで開業する道も開けてくる。
■ どう選ぶ?
グラフィックデザインを中心に学ぶなら、芸術系学部や専門学校に設置されているグラフィックデザインコースがオススメだ。デザイン系学科のグラフィックデザイン専攻・コースや、コミュニケーションデザインコースなどを設けている大学・専門学校もよいだろう。
いずれの場合も実習に加えて、実践で使える能力を養うための理論的なバックアップがポイントだ。一方、情報伝達という面から広告を学びたいなら、情報系学部の文化情報学科、広報学科なども選択肢のひとつ。しかし、現代は社会科学すべてが広告に関わっているともいえる。