観光事業の政策を立案したい。

●どんな世界?
海外旅行が自由化されて今年で44年。およそ半世紀足らずで海外に観光旅行に出かける国民の数は飛躍的に上昇し、自由化の翌年の1965年にはわずか16万人ほどだったのが、2006年には1,754万人にものぼった(国土交通省調べ)。
それに伴い海外旅行に対する国民の意識も“特別な余暇”から“一般的な余暇”へと変化した。さらにインターネットの普及によって旅行のスタイルも多様化。各国の観光サイトにアクセスして情報を集め、自分で直接ホテルを手配する旅行者が増える一方、リクエストに応じた旅行プランを組んでもらう“オーダー旅行”を楽しむ客も。パッケージツアーの価格も激安プランから超豪華ツアーまで幅広く、さらにツアー対象者も高齢者や病気を抱えた人向けのプランが企画されるなど、利用者のさまざまなニーズに対応している。
ただ、最近では懸念材料も。このところの原油の世界的な高騰に伴い、航空運賃とは別に徴収される燃油サーチャージが上がり続け、この1年で前年比1.5倍にもなっているのだ。価格安定の兆しも一向に見えないなか、今後の影響が心配される。
一方、日本を訪れる外国人旅行者数はここ数年、空前の活況を呈している。国土交通省の最新データは2006年の733万人だが、旅行会社JTBによると2007年は推計834万人、そして今年2008年は初の900万人台に達する見通しという。現在、日本は観光立国の実現に向けて「訪日外国人旅行者数を2010年までに1,000万人にする」ことを目的とした“ビジット・ジャパン・キャンペーン”を進めている。その成果か、外国人観光客の数はここ数年、年間60〜80万人以上のハイペースで増え続けているのだ。
なかでも目立つのがアジアからの訪日客。2006年のデータ(国土交通省)では韓国から212万人、中国から81万人が訪日し、合計で全体の4割近くを占める。最近の特徴はとくに富裕層が増えたことで、中国はもちろん経済が豊かになったロシアからの富裕層は、温泉旅館付きのスキーツアーを楽しんだり、高級ホテルのスイートルームに連泊するなど、その豪遊ぶりが話題になることも多い。観光立国に向け全国的にホテルラッシュが続いているが、特に都市部では外資系のホテルが続々と進出しているのも、こうした状況と無縁ではないだろう。まさに観光は現代社会を映す鏡なのだ。
●何を学ぶ?
観光業界の活性化や観光スタイルの多様化に伴い、大学でも「観光」を学問の対象としてとらえ、研究する学科が増えている。現在、大学の観光系学科では旅行業やホテル産業、交通業などの「観光産業」、テーマパーク、リゾート開発などの「観光開発」、観光立地計画に欠かせない「観光事業」など、さまざまな視点から観光について学ぶことができる。
観光産業を研究テーマに選んだ場合は、旅行や接客に関する基礎的な知識やマナーのほか、ホスピタリティ・マインド(おもてなしの心)も習得し、さらに語学や地域研究、観光経済学、ホテル経営論、旅行企画論、観光交通論など、幅広い領域の科目を履修していく。
観光開発や観光事業では、都市開発論やリゾート開発論、観光法、環境政策論、環境事業経営論などの専門科目が用意されており、観光事業の企画立案能力を身につけることが可能だ。
いずれのテーマを選んだとしても、語学力の育成にウエイトが置かれている点が観光系学科の大きな特徴だ。中には英語に加えて、中国語や韓国語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ロシア語、インドネシア語、タイ語など、豊富な言語に対応している学科もある。さらには、各地の地域研究を通じて異文化理解を深めていくことも観光系学科の目的だ。
●どう選ぶ?
観光を専門的に学ぶ学科には、観光学科や観光産業学科、観光文化学科、国際観光学科などがある。これらの学科には、観光文化や観光計画など、目的に合わせてコースや履修モデルを設置している場合が多い。
また、国際文化学科や語学系の学科などに進み、異文化研究や語学の視点から観光について学ぶこともできる。この場合は、観光よりも地域研究や語学の習得に重点が置かれた教育がなされている点に注意したい。
●資格は?
旅行業務に関する代表的な資格として、「国内旅行業務取扱管理者」「総合旅行業務取扱管理者」の2つがある。前者は国内旅行を、後者は国内外の旅行を扱う旅行会社が、営業所ごとに必ず1名以上の有資格者を置かなければならないことが規定されている。
このほかにも「通訳案内業」の資格がある。語学力に加えて、日本の地理や歴史、文化、産業、経済に至るまで、幅広い知識を持っているかどうかを試されるもので、第1次試験(筆記試験)と第2次試験(口述試験)によって合否が決まる。
語学の習得度をはかりたいなら「実用英語技能検定(英検)」や「TOEIC」のほか、「実用フランス技能語検定」「スペイン語技能検定」など、各語学ごとに検定試験が行われているので目的に合わせて活用したい。
さらに「観光英語検定」や「旅行業英語検定」など、観光業務に必要な英語のスキルをはかる試験や、旅行地理の知識を問う「旅行地理検定」などもあることを覚えておこう。
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