ロボットを創りたい。

●どんな世界?
人間のパートナーと呼べるロボットはアニメやマンガの世界だけのものだろうか? 工場の生産ラインで活躍する産業ロボットやペット型ロボットを見ても、アニメの主人公「ドラえもん」や「鉄腕アトム」とはほど遠いところにあるように思える。宇宙・海洋開発、高度生産分野、医療・介護など、特定の産業分野に限定されたロボットはあるものの、自分の意思で判断し行動する自律型ロボットの実用化には、もう少し時間がかかりそうだ。
とはいえ、ロボットを巡る状況は着実に変わりつつある。ホンダのASIMOやソニーのSDR-4Xなど姿形が人間に近いものや、ペット型のアイボなどを経て、2005年の愛知万博ではトヨタ自動車などさまざまな企業が試作品を発表。また、自動的に建物内を巡回・警備するロボットや掃除ロボット、荷物の運搬などを行うロボットカートなど実用例もどんどん増加。より高度化・知能化したロボットが社会のなかで活躍する時代になったと言えよう。
こうしたロボットブームの影響を受けて、2006年末、ロボットビジネス推進協議会が設立。ロボットを必要とする現場のニーズをすくい上げ、開発側につなげるとともに、新たなビジネスチャンスに結びつけることに力を注いでいる。例えば介護分野。開発側は当初、「リハビリを助ける」など被介護者からの発想で開発に取り組んでいたが、介護現場の人手不足や重労働を知ることにより、介護者をサポートするロボットという新たな方向性が見つかった。こうした取り組みにより、ロボット業界のさらなる発展も期待されている。
ロボット開発の主体はあくまで人にある。機械に物事を判断させる「こころ」と、自由に行動できる「からだ」を与えるロボット開発エンジニア。その存在は、これからの産業界を牽引する最大の力になると言っても過言ではない。
●何を学ぶ?
ロボット開発における研究テーマは、大きく分けて手足の「動作機能」、周囲の環境を知覚するための「センサー」、行動を判断する「人工知能」の3要素がある。それぞれの研究のためには機械、電気、情報、材料などの専門知識に加えて、人間の体の動きや特性を計測・解析する技術も身につける必要があるだろう。
例えば、ロボットの形状やシステムに携わりたいなら、機械工学や電気工学の知識が不可欠。特にメカニズムの簡素化と高機能化を進めるために、機械・電子回路・ソフトウェアの結合を図るメカトロニクス(Mechatronics)分野の知識も要求される。
また人間に役立つロボットを作るためには、人間が視覚情報や音声情報をどう処理しているのか、また受け取った情報をどうやって認識し、個々の場面に応用しているのかといった、人間の知的能力に関する研究も重要になってくる。生物に備わっている「外界を認知する」という情報処理の仕組みを明らかにし、工学的に役立てる「認知工学」も、ロボットに密接に結びついているのだ。足と関節の位置、移動範囲、重心の位置などのハード面から、状況を把握するためのセンサー、動きを制御するためのコンピュータシステムなどソフト面まで、最先端の知識・技術を組み合わることで、ロボット研究・開発はさらに進んで行くに違いない。
●資格は?
ロボット開発を手がける企業に就職するための資格は特にない。だが、大学で専門分野を学ぶとともに、ロボット制作に携わってきた実績があるとアピール材料になる場合もある。ハードウェア・ソフトウェアの両分野に関わり、最先端の技術が惜しみなく投与される分野だけに、常に関心をもち、最新情報を入手するように心がけたい。
実際に業務に携わってからは、技術系の最高ランクの資格として知られる「技術士(機械部門)」をめざしたい。合格率は14〜16%程度と難しいが、キャリアアップのためにも挑戦する価値は大きいだろう。
●どう選ぶ?
ロボットの研究・開発に携わりたいなら、工学部・理工学部を設置している大学で、ロボット工学系もしくは人工知能系の研究室に入るのがおすすめだ。ロボティクス学科やメカトロニクス学科といった名称の学科をめざすのも良いだろう。それぞれの学科や専門コースでどのようなロボットを研究しているかも、学科を選ぶ時の基準に入れておきたい。例えば、医療・福祉の分野で役立つロボットを開発するために介護・看護をするときの人間の動作を分析し、それをメカトロニクス技術によって再現する研究が中心の学科もあれば、より人間に近い機能、二足歩行や感性データの認識システムなどの研究を中心に行っている学科もある。自分がどのような方向でロボットを研究したいか定まっている人は、各学科がどのようなロボットの開発・研究をめざしているのかをチェックしておくことが大切だ。
また、研究の成果を試すために、さまざまなロボットコンテストに出場するのも励みになるだろう。例えば「ABUアジア・太平洋ロボットコンテスト」の国内予選を兼ねている「大学ロボコン」をはじめ、「レスキューロボットコンテスト」「ロボカップ(自律型ロボットによるサッカー世界大会)」「知能ロボットコンテスト」など腕試しのチャンスが数多く設けられている。
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