社会福祉に貢献したい。

●どんな世界?
「福祉」とは本来、「幸せ」や「豊かさ」を意味する言葉。だから、アタマに“公共”を意味する「社会」が付くと、「みんながより豊かに、幸せに、ともに暮らせる社会」という意味になる。そしてその理想を実現するためにさまざまな形で力を尽くすことが、社会福祉に貢献するということなのだ。
そう考えると、社会福祉とは決して特別な世界ではなく、身体的、年齢的(高齢者や未成年など)、あるいは心の問題によって生活する上で障害や困難を抱えている人々に、ごく自然に手をさしのべる営みであるといえる。福祉サービスを受ける人々に対し、よく「社会的弱者」という表現が使われるが、誰でも子どもの時代はあったし、老化を避けることはできない。突然、身体が不自由になるかもしれない。人はみな社会的弱者になる以上、支援する側とされる側ではなく、「みんなで幸せを支えあう」姿勢がいま求められている。ハンディキャップを持っている人たちに対する社会的支援が行き届いている社会は大多数の人たちにとっても良い社会に違いないのだ。
●資格は?
広く福祉の世界を仕事の内容で区分すると、介護関係、相談援助関係、保育関係、保健医療関係の4つに大別できる。これらを資格との関連でみていくと、次のようになるが、福祉の世界で働くには資格が必要となるので注意したい。
介護関係は福祉施設等で高齢者や障害者の介護を行うケアワーカーと、在宅で高齢者や障害者の世話をするホームヘルパーが代表的。「介護福祉士」が代表的な資格。
相談援助関係は「社会福祉士」が代表的な資格。また「社会福祉主事」の任用資格は、公務員として行政機関などで、ケースワーカーとして働く場合に必要な行政の資格基準だ。「精神保健福祉士」の国家資格は、精神障害者の相談にのる専門職としての資格だ。
保育関係には、保育士が代表的。また、児童福祉に関わる資格としては、「児童福祉士」や「児童指導員」などの任用資格がある。
保健医療関係の資格には、「理学療法士」「作業療法士」「言語聴覚士」「視能訓練士」などの国家資格がある。
日本の高齢化は、世界に例のないスピードで進んでおり、介護のニーズは増加する一方だ。また障害者に対しても2006年に試行された障害者自立支援法に基づき、地域によるケアの大切さがクローズアップされている。むろん子育て支援の必要性はいうまでもない。福祉の仕事のニーズは今後ますます高まるといえるだろう。しかしその一方で、介護サービス派遣事業者の不祥事がマスコミをにぎわせ、介護や福祉の仕事のキツさばかりが印象づけられた結果、志望者数にかげりが見えてきたことも事実だ。
こうした状況の改善を図り、政府は2007年、「社会福祉士及び介護福祉士法」を、国家資格が制定されてから初めて、20年ぶりに改正した。12年に施行されるこの法律は、簡単に言うと、福祉専門職のキャリアアップと、その仕事の大切さに見合う待遇の改善を進めるもの。教育カリキュラムも新たに整備され、より高度な「専門社会福祉士」や「専門介護福祉士」などの資格も新設される予定だ。福祉の世界で自己実現をめざす人にとって大きな朗報といえるだろう。
法的環境の整備以外にも明るい材料はある。特に心強いのが、介護をサポートする福祉ロボットや通信を使った遠隔地診療、聴覚障害者用の感覚代行器の開発など、民間や産学連携の研究室で、高度なものづくりの技術を福祉に活かす試みが着々と進んでいることだ。いずれは移動や入浴といった重労働をサポートしてくれるヒューマノイド型ロボットと一緒に、寝たきりの人の介護をできるようになるかもしれない。
誰かに負担がかかり過ぎることなく、働きやすい環境の実現と、誇りを持って仕事ができる評価の確立——。社会福祉の未来図は、「みんなが幸せになる」社会にまた一歩近づいているのだ。
●どう学ぶ?
大学で福祉を学ぶ場合、学部では、社会福祉学部としている大学が多いが、医療福祉学部、保健福祉学部等では保健医療分野に強い社会福祉士を養成している。人文学部、文学部で学べる場合もある。学科としては社会福祉への関心を反映して毎年、新しい学科が新設される傾向にあるので、そこで何が学べるのか、資格取得の有無も含めてしっかり調べよう。
代表的な学科は社会福祉学科のほか、社会学科、医療福祉学科、人間福祉学科、介護福祉学科などだが、子ども福祉学科、ソーシャルワーク学科、福祉コミュニティ学科なども増えつつある。短期大学や専門学校でも福祉は学べるが、資格取得の有無を必ず確認しよう。
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