アニメの制作に関わりたい。

●どんな世界?
アニメーションの歴史は100年以上に遡る。日本人の手によるアニメーション作品としては、明治時代末に制作されたフィルムが見つかっており、アニメーションという表現方法が古くから試みられていたことがわかる。このように映画よりも長い歴史を持ちながらも、アニメーションは「子どもの見るもの」といった偏見が根強く、社会的に低評価に甘んじてきた。しかし、デジタルテクノロジーの発展にも後押しされ、質の高い作品が次々と発表されるようになり、ここ数年の間に社会的評価も一気に高まってきている。
例えばスタジオジブリの新作には、常に世界が注目を寄せていると言ってもよく、また、日本でテレビ放映されたアニメーションが、他国語に吹き替えられて放映され、高い人気を集めているといった現実もある。さらに、ハリウッド映画で日本のアニメーション技術が必要とされ表現の幅を広げるのに一役買うなど、日本のアニメーション技術は間違いなく世界でトップレベルにある。「アニメ」は「マンガ」とともに日本から世界へ発信されている重要コンテンツ、文化のひとつなのだ。
現在のアニメの世界は、単にアニメ作品を見るだけではない。作品の制作背景や、声優のエピソードを読んだり、フィギュアを集めたり飾ったり、コスプレやイベントへの参加も、珍しいことではなくなった。少し前までは「オタク」の専売特許と思われていたアニメは、幅を広げながら確実に市民権を得ている。
●どんな仕事?
ひとつのアニメーションも、企画、脚本、原画、動画、撮影、編集、音楽と細かく仕事が分かれている。大勢の専門家による共同作業の集大成が、アニメーションとなって見る人を楽しませている。近年は、技術の進歩がめざましく、透明なセル画に1枚1枚手作業で絵を描いていく、という昔ながらの作画作業はほとんどないといっていい。作業の大部分にコンピュータが導入され、動きもよりリアルで、制作時間も大幅に短縮されている。高レベルの作品が低コストでできるようになってきているのだ。
コンピュータ技術といっても、少し前までのCG技術と今のものとでは大違い。人間の肌や髪の毛などが持つ微妙な質感も、俯瞰などといった難しいアングルも、現在は高いクオリティでごく自然に表現される。アニメーションはデジタル化の技術革新によって新しい命を吹き込まれたと言えるだろう。
仕事内容を見ていこう。まずは作画から。アニメーションの作画には、主要なキャラクターやシーンを描いた原画と、各シーンが連続しているように見せるための動画がある。現場では、原画マン、動画マンに分かれてそれぞれの作画を担当。動画マンとして経験を積み、原画マンを任されるのが一般的だ。その後、キャラクターデザイン、色彩計画、作画監督などへとステップアップしていく場合もある。
最近のテレビ番組などでは、人件費の安い中国・韓国などで大部分を制作し、仕上げのみ日本で行うといった分業体制も進んでいる。日本のスタッフにはより高い技術が求められる。
こうしてできあがった作画は、専門のスタジオでの撮影に回される。できあがった映像にあわせて声優がアテレコで命を吹き込み、さらに効果音やテーマ音楽などが重ねられ、編集作業を経て作品が創り上げられていく。
映画やビデオ、TV番組、広告、街頭ビジョンなど従来のアニメーションに加え、ゲームやWeb、携帯電話の待ち受け画面などにもアニメーションが用いられている。いわゆる伝統的なアニメーションとは異なるが、フラッシュ技術を使えば1パソコンユーザーでも凝ったアニメーションを作れる時代だ。情報の媒体が今後も拡大するにつれてアニメーションの存在は、社会のなかでますます大きくなっていると言えるだろう。
●将来は?
アニメーション制作会社へ就職したり、ゲーム業界、IT関連産業などへ進出し、アニメーション作家、アニメーター(実際に作画に携わる)、デザイナー、ディレクター、プロデューサーなどの職種に就く道が考えられる。
またCGの利用により、個人でも高品質の作品が低コスト・短期間で制作することができるようになったため、個人作家として活躍する道も開けてきた。一方、マンガやノベライズ、フィギュア、ゲームなどアニメーションを核にさまざまな関連ビジネスが生まれており、新しいビジネスを開拓するチャンスもある。アニメーションの世界には、大きな可能性が広がっている。
●どう選ぶ?
アニメーションの仕事に就くための専門資格はない。現場での作業で地道に実力を積んでいくのが確実だろう。関連資格としては文部科学省認定の「CG検定」や、「画像処理検定」「マルチメディア検定」など。教育機関としては専門学校が中心になるが、大学でマンガ系学科・コースが次々と生まれており、アニメーションを専門的に学ぶこともできるようになった。またメディア関連学科や映像学科などで映像表現の1分野として学んだり、ゲームやCGデザインを中心に学ぶコースが設けられるなど、高度なアニメーションを学べる環境が整いつつある。こうした動きにも着目しながら、創作意欲や技術を磨いていきたい。