商品の魅力を表現するスペシャリスト。

●どんな世界?
広告をとりまく世界は大きく様変わりしようとしている。広告主要4媒体といわれている「新聞広告」「雑誌広告」「ラジオ」「テレビ」の果たす役割がいずれも漸減傾向にあり、代わってウェブ(ネット)広告が大きく台頭してきている。
しかし、インターネットの普及が、そのままウェブ広告の躍進というわけでもない。なかなか広告効果が計れなかったり、アクセス解析の技術が未熟だったりしたため、従来の広告主要4媒体を即座に凌駕する存在にはなりえなかった。それが、ようやく改善され、改めてその価値の大きさが認められるようになっている。そうなれば、従来の媒体にはない双方向媒体でもあるウェブ広告。誰の目にも今後の広告主要媒体の一角に食い込むのは明らかだろう。
ただし、「広告」そのものの使命が変わったわけではない。対象となる商品の魅力を最大限に表現すること。同時にその魅力をよりたくさんの人に伝えていくことだ。つまり社会や人々の生活と強く結びついており、人と人、人とモノをつなげるという役割を担っている。
多くのスペシャリストが協力し、1つの広告を作り上げる、その作業の中心となるのがアートディレクターだ。なおアートディレクターの役割をグラフィックデザイナーやコピーライターが兼ねることもある。
たとえばアートディレクターは、グラフィックデザイナー、コピーライター、イラストレーター、カメラマンなどと協力しながら、広告案を作る。それを広告主、つまりスポンサーにプレゼンテーションし、そこで出されたリクエストをまた持ち帰り、次の案にブラッシュアップさせる。その繰り返しで作り上げていくのが広告であり、個人の作品とは大きく異なるところだ。
だからと言って、広告主の意向だけを反映すればいいというものではない。より効果が得られるもの、多くの人に訴えかける広告をスポンサーと打合わせしながら仕上げていくのである。
ここで今、大きくクローズアップされるのが、新たなスキル。従来の媒体ならば広告クリエイターは、広告制作のスペシャリストであればよかったが、ウェブ広告の場合はウェブそのものにある程度精通している必要がある。広告クリエイターであると同時に、簡単なホームページぐらいなら自前で作れるウェブクリエイターである必要がある。広告主要4媒体の時代には求められなかったスキルが広告クリエイターに求められるようになってきているのだ。
●どんな仕事?
広告物ができるまでには、多くのステップがある。まず企画段階では、商品のコンセプトや年齢層などのターゲットを絞り、その層に一番アピールする広告展開を考えていく。さらにスケジュールや予算といった条件を加えてディレクター、コピーライター、デザイナー、イラストレーターなど担当チームのメンバーが決定。試作を繰り返しながら、スポンサーにプレゼンをし、多くの人に訴えかける広告を仕上げて上げていくのだ。
デザイナーやイラストレーターに要求されるのは、商品の特性を把握し、それをどう人に伝えていくか。そのためデザイン力や創造力、さらに社会のニーズに敏感に対応できるような広い視野が必要とされる。また、実際の作業は一人で行うものの、チーム内で意見を交換したり、広告主との打ち合わせに同席するなど人と接することも多い。締め切り前などにはハードなスケジュールになることもある。コミュニケーション能力やスタミナも、この仕事の重要な素養となろう。
●将来は?
グラフィックデザイナーやイラストレーターをめざす場合は、広告代理店やデザイン事務所などに専門職として就職するのが一般的。
広告関係ならプランナー、クリエイティブディレクター、グラフィックデザイン関係ならアートディレクター、イラストレーター、グラフィックデザイナー、CGアーティストなどスペシャリストの需要は多い。
就職に際して特別な資格は必要ないが、いずれの場合もオリジナリティやセンスが求められるため、就職後の努力や経験が不可欠。携わった作品の評価次第で、自分の将来が決まる厳しい世界だが、実績をあげられれば高収入を得ることも可能だ。指名で依頼される仕事が増えてくれば、独立して事務所を開いたり、フリーで開業する道も開ける。
●どう選ぶ?
グラフィックデザインを中心に学ぶなら、芸術系学部に設置されているグラフィックデザインコースがオススメだ。デザイン系学科でグラフィックデザイン専攻・コースを設けているところや、コミュニケションデザインコースなどを設けているところもでもいいだろう。
いずれの場合も実習だけでなく理論的なバックアップがポイントで、実践で使える能力を養うことができる。一方、情報伝達という面から広告を学びたいなら、情報系学部の文化情報学科、広報学科なども選択肢の一つ。だが、社会科学すべてが広告に関わっているのが今の時代でもある。