近年、多くの大学がキャンパスの再整備に取り組んでおり、そのひとつの流れとなっているのが「都心への回帰」です。1970年代から1980年代にかけて、多くの大学が都心から郊外へキャンパスを移転した背景には、地価上昇とキャンパスの狭隘化がありました。広大な敷地を確保し、施設・設備の充実化を図ることが、都心のキャンパスでは困難だったのです。
しかし、その後、18歳人口の減少、生涯学習の認識が高まるにつれ社会人学生が増加するなど、大学をめぐる情勢は大きく変化し、郊外型キャンパスには時代のニーズにそぐわない部分が出てきました。
より多くの学生を集めるためにも、社会人の通いやすさという点でも、さらに教員が社会と連携した研究を進めるという面でも、交通アクセスに恵まれ、大企業や先端企業が集中する都心のキャンパスの方が、郊外型キャンパスよりも有利だということになったのです。
「都心への回帰」の具体的な動きとしては、まず、1・2年次の教養課程を郊外のキャンパスで行い、3・4年の専門課程を都心のキャンパスで行っていたが、都心のキャンパスで4年間一貫教育を行うようになったケースがあります。共立女子大学や東洋大学などがそれに当たります。
次に、都心のキャンパスを高層化して、キャパシティをあげるケース。2002年に工場等制限法が撤廃され、都心に高層の大学校舎を建設できるようになったことが都心回帰の追い風となりました。明治大学のリバティタワー(地上23階)、法政大学のボアソナードタワー(地上27階)、東洋大学の2号館(地上16階)などの高層校舎が相次いで建設され、大学の新たなシンボルとなっています。
第三に都心にサテライトキャンパスを設置するケース。首都圏や関西地区の大学では、都心にサテライトキャンパスを設け、社会人を対象とした大学院教育や産官学連携、社会人向けの公開講座を展開しているところも見られます。