アローコーポレーションセミナー
「これからの大学案内を考える」レポート
■開催日:2009年5月14日(木)
■会場:ベルサール神保町(東京都千代田区)
■参加人数:全国95大学160名
第1部
2009年度入試 志願者の動向速報
2009年度受験生はどの大学を選んだのか
豊島継男事務所/宮岡政徳

豊島継男事務所の調査による「2009年度一般入試志願者の動向」を同事務所の宮岡政徳氏が報告。昨年秋から続く景気後退、センター試験平均点の下降が志願状況に与えた影響や受験生が出願校を絞り込むまでの過程について、独自の分析結果が報告されました。また難易度以外に、受験生が出願校決定の際に重要視するポイントについて「早稲田系と慶應系」「女子大と共学」「伝統校と新設校」などの視点から解説。さらにパンフレット、募集要項作成のポイントにも触れた内容となりました。
参加者の声
●最新の志願者動向が数字をもとにわかりやすくまとまっていて、大変参考になった。
●地方私立受験生として、この受験生の動向をシビアに受け止めなければと感じた。
●受験生はどのような大学に出願する傾向が強いか、興味深く聞いた。
●多様な切り口で細かく検証されていた。
●ポイントを押さえたメリハリあるお話で、概況を総括することができた。
●高校生が国語の教科書ベースで大学案内も見ているという点は、大変参考になった。
●2010年度入試への対応など、もう少し時間をかけて聞きたい内容だった。
●受験生の第1志望校をめざすのか、併願校をめざすのか…我が大学の立ち位置を考えさせられた。
第2部
「大学案内調査プロジェクト」調査速報
好まれる大学案内・嫌われる大学案内
アロー教育総合研究所/研究員 田嶋裕

高校生は、大学案内をどのように読んでいるのか。アロー教育総合研究所をはじめアローグループでは「大学案内調査プロジェクト」を実施し、第2部ではその調査結果を速報しました。調査は「大学生グループインタビュー」「高校生書面調査」「高校生対面調査」「大学案内ハードウエア調査」の4種類。大学案内のサイズや重量から、読まれるページ・読まれないページの傾向までを分析し、これからの大学案内の指針を探りました。大切なのは、大学案内の読者である高校生の実像を把握し、大学案内によってどんなコミュニケーションを図りたいのか、あらためて見直すこと。大学案内のミッションを再確認するという基本作業の重要性があきらかになりました。
参加者の声
●実際に進路指導の現場で大学案内がどう使われているか、貴重な情報が得られた。
●3,000人に及ぶ生徒を対象に行ったこのような調査は、学内広報のエビデンスとして非常に有意義だと思う。
●大学案内がどのように「使われ」「受け止められている」のか知りたくても、我々が調査するのは困難。その一端を垣間見ることができて有意義だった。
●調査報告後半の「処方箋(まとめ)」の部分を大いに活用したい。知りたい情報が満載だった。
●読者(受験生・保護者)に有効活用されるような大学案内の作り方と、その意図を深く考える必要があると再認識した。
●現役大学生の意見もあって良かった。大學案内の「判型サイズ調査」は興味深い。
●分厚い大学案内を作る意味があるのか。A4サイズで良いのかなど、一考する余地がある内容だった。
●大学案内調査プロジェクトのデータを活用し、本学の大学案内の強み・弱みを分析したい。
第3部
アロー教育総合研究所
パネルディスカッション
進路指導の現場が求める大学案内とは
パネリスト
A先生 東京都立江東学校教諭 進路指導部 東京都高等学校進路指導協議会
B先生 東京都立高等学校教諭 東京都高等学校進路指導協議会ほか
C先生 埼玉県私立中学・高等学校教諭 進路指導部主任
須藤賢一 アロー教育総合研究所マネージャー。大学案内制作ディレクション多数。
西山じゅん アロー教育総合研究所特別顧問 2009年4月より芝浦工業大学中学・高等学校に着任
田嶋 裕 コーディネーター。アロー教育総合研究所 研究員

進路指導現場で大学案内は役立っているのか、いないのか
C先生 「学習の大変さ」「授業の忙しさ」などリアルな情報を、生徒が大学案内で事前に入手していれば、教員からも「こういう生活が普通なんだよ」「それでもやっていけるの?」など、より踏み込んだ指導ができる(とくに資格志向、医療系学部志望の生徒に対して)。
A先生 素晴らしい施設、楽しい学生生活で夢を与えてくれることも重要だが、生徒や保護者はもっと「学びの内容」「学費」「卒業後の進路」を具体的にイメージしたいと思っている。とくに最近、保護者が大学を評価する目はますますシビアに。
B先生 創立者の思いがつまったページがあるが「現実とそぐわないのではないか」と感じる部分がある。また以前、指定校推薦で進学先を決定した生徒の保護者から「大学案内に学費が掲載されていなかったために予想以上の費用がかかった」と、高校にクレームが来たことがあった。
西山 いくつもの階層で構成されているようなWebサイトよりも、高校生が見るのはやはり大学案内。特に地方在住の高校生にとって「大学案内はバイブル」と言っていい。お金、就職、奨学金などの最低限の情報は掲載されているべき。
大学案内の発行時期について
C先生 時期的に一番必要なのは6月。そこに間に合うのであれば、発行を延ばしてでも正確な情報が掲載されているものを出して欲しい。暫定版・確定版として2度発行されると使いづらい。
B先生 進路多様校の場合、4月は就職指導を優先させる時期。5月に入ってからでないと大学案内を読む余裕はない。また、1月〜3月に新設学科・学部案内リーフレットが送られてくるが、開封処理する時間がとれないので正直困る。
大学案内が訴求すべきポイントとは
A先生 大学案内の見た目をきれいに飾る、見やすくする以前に「どのような教育で学生を育て社会に送り出すのか」という力強いメッセージを打ち出して欲しい。また、募集広報・学生獲得も重要だが「大学自体を魅力的あるものにする」ことにも注力して欲しい。
須藤 大学案内は大学が作るもの。高校生、保護者、高校教員すべての意見を反映させるのは不可能。けれど「高い検索性」を備えれば、さまざまな立場の人が「欲しい情報」を容易に得られる大学案内になるのではないか。また研究内容など学びに関する部分を確実に読んでもらう工夫も制作側には必要。統一フォーマットに沿って、タイトル、写真、文字をカセットのようにはめ込むやり方には、研究内容を魅力的に見せる手法として限界を感じる。
その他に出された意見
西山 中学生、高校生が大学案内をどう読んでいるのか、作り手側は大学のイベントに積極的に参加してその現場を観察するべき。
C先生 高校生は本当によく大学案内を見ている。だからこそ正確で、信憑性のある情報を掲載して欲しい。過去数年の結果が正確にまとめられていると信頼できる。
B先生 面白い、読みやすいというアンケート結果からももわかるように、大学案内全般はよく作られていると思う。しかし高校生は重い・大きい冊子を嫌がる。大学案内はA4版が主流だが、今後どのようになっていくのか注目したい。また大学案内とWebサイトをどのように関連づけていくのか期待したいところ。
A先生 奨学金制度を充実させて欲しい。経済不況のいま、大学進学を希望する生徒にとって「お金」は切実な問題。その情報を高校側に積極的にアナウンスして欲しい。
参加者の声
●大学側の伝えたいことと、ユーザーの受け取り方のギャップが予想以上にあることがわかった。
●先生方の意見を聞いて、大学案内の完成・配布時期を検討したいと思った。
●大学案内が機能的になるよう、判型(サイズ)をもう一度考えたい。
●時代に合ったパンフレットか、受験生にあったパンフレットか、本学の大学案内を再度見直したい。
●正しい内容をわかりやすく表現し、相手のニーズに沿った大学案内が必要だと思った。
●すぐにでも取り入れられる意見があったので参考になった。
●制作することに満足せず、受け取る側のことを考えた大学案内でなければならないと再確認した。
●大学側は「こう作らねば」という学内ルール・慣例に引きずられることが多いため、受け手側にいる立場の方の意見は貴重だった。
